ドリフの昔の演奏映像を見ると、

いかりやの愛器はFender Jazz Bassのようだ。

当たり前だが当時はUSAだから、

素人には手が出せない高価なBASSだと思うが、

そんなJazz Bassを抱きながら、

吉本新喜劇レベルのアクションで思い切りずっこけてみせるところが、

まさに超一流のコミックバンドの面目躍如といったところだな。


あんなに派手にずっこけていたら、

ネックを折ってしまうのではないか…などと、

今更だが気が気ではない。

いかりや、仲本、そしてブーが、

GibsonとFenderでチャンバラしているようなもんだ。

だが、当時の子どもたちはギターがどうだとか、

そんなこと一切関知せず大はしゃぎしていたわけだよ。


思いだすなぁ。

渋谷公会堂で全員集合の公開中継を見た時の記憶を…。

ゲストが郷ひろみだったが、

公開中継ってライブではないから、

会場のPAなんてチャチなもんでさ、

演奏は聴こえるけれど歌が全然聴こえんかった。

郷ひろみって歌下手だなぁ…と思ったよ。


それはともかく…。


コミックバンドとしてのドリフの芸を見ると、

ドリフにおいて高木ブーは絶対に欠かせないメンバーであることが分かる。

高木ブー、そしてリードギターの仲本の、

技術に裏打ちされた信頼に足る高度な演奏あればこそ、

カトちゃんや荒井注、そして志村が、

思う存分、大ボケを噛ますことが出来るのだ。

で、その力量を無視できないのがリーダーのいかりやで、

ふざけまわるメンバーに思い切りツッコミを入れ、

BASSのネックを折りかねないほどずっこけながら、

リズムをきちんとキープしてバンドの演奏を引っ張り続けているのだ。

いかりやは凄いバンドマンであり偉大なリーダーである。


つまりコミックバンドとしてのドリフの芸とは、

「雷様トリオ」が的確に刻む8ビートに、

カトちゃんや注、志村が“おかず”をいれているわけで、

すなわちドリフの本質とはまさにバンドそのものだと俺は思うぞ。

ドリフはThe Beatles日本公演の前座に相応しい、

まさに日本を代表するバンドだったのであるよ。


音楽性の土台がジャズであるクレージーの笑いは、

洒脱な谷、自由な植木など、ジャズならではのアドリブ性が魅力だが、

土台がロックであるドリフの笑いはビートが命だから、

あらかじめ笑いを計算しておかねば演奏自体が破綻してしまう。

その計算された笑いの部分において、

リーダーであるいかりやの力量を評価すべきであり、

いかりやがアドリブに弱かったことを以って、

ボケ役のカトちゃんや志村と比較して、

いかりやがお笑いセンスに欠けると評価することは間違っている。

バンドやっている奴なら、

いかりやの偉大さ、凄さがわかるってもんだろう。


ドリフ、クレージー…、

かつて日本には超一流のコミックバンドがあった。

なのになぜ、

今の日本にどうしてまともなコミックバンドがないんだろう。


バンドやってる若い連中は巧い奴が多いんだから、

どうせ音楽業界も落ち目なわけだし、

努力の割に見返りがどんどん少なくなっていくだろう。

夢を見ることが出来ない、夢を与えることが出来ない音楽業界から、

お笑いの世界に挑戦する奴がいてしかるべきだと俺は思うぞ。


今の日本のお笑いを見ればいい。

芸のない奴らばっかりじゃないか?

若いベーシストは、いかりや弾きを学び、

ネックを折らんばかりのアクションで笑わせてみろ!