アール・グレイと消えた首飾り　　ローラ・チャイルズ

　「お茶と探偵」シリーズ第３弾『アール・グレイと消えた首飾り』のご紹介です

　今回は連続盗難事件をセオドシアが追います

　きっかけは、セオドシアの友人・デレインの姪であるカミールの婚約パーティでの出来事

　パーティ会場の天井が落ち、カミールの婚約者・ブキャナン大尉が下敷きになってしまいます

　そのドサクサに紛れて、ブキャナン家伝来の６万ドルとも７万ドルとも言われる高価な婚約指輪が消失！

　当初は天井が落ちた衝撃でどこかに転がってしまったのだと考えられましたが、どこを探しても見つからず仕舞いです

　セオドシアはこれが盗難事件ではないのかと疑いを持ちます

　それを証明するように、次々と希少価値のある高価な品物が盗難され、また指輪の消失以前にも盗難の被害があったことが明らかになります

　デレインや旧知のティモシーの窮状を見兼ねたセオドシアは、独自に調査を開始します

　セオドシアの探偵作法は、基本的に状況証拠の積み重ね

　調査によって得られた情報から犯人像を割り出し、関係者の中からイメージに合致する者を絞り込んでいくというやり方です

　こういうのをプロファイリングというのでしょうか

　絞り込んだ候補者をさらにアリバイ等でふるいにかけていきます

　しかし、このように犯人を特定していくものの、最終的に事態を打開するのはセオドシアの突飛とも無鉄砲ともいえる行動です

　鋭い観察眼を武器に、洞察力と推理力で犯人を魔法のように言い当てる従来の探偵とは違い、セオドシアの調査は行き当たりばったりな感が否めませんが、襲い来る危機に勇猛果敢に挑むセオドシアにはハラハラドキドキさせられ、血湧き肉踊ります

　それから事件の調査・推理以外にも楽しめる要素が満載

　セオドシアがオーナーを勤める紅茶専門店・インディゴ・ティールームの新商品〈T-バス〉もその一つ

　〈T-バス〉とは、お茶で作った入浴剤です

　同店のティー・ブレンダーであるドレイトンがお茶とハーブを独自のレシピで配合しています

　作中の架空の商品ですが、なんとも購買意欲をそそられる商品だと思いませんか

　〈T-バス〉を入れた湯船に浸かる自分を夢想すると溜息が出そうです♪

　こういうことを思いついたり、実際作ったりすることに憧れちゃいます

　他にもお茶のスムージーなどのアイディアを話し合うシーンが登場したりして、本当にワクワクさせられます

　ミステリはいまいち馴染みがないという方でも充分楽しめること、請け合いです