三姉妹探偵団 (3) (講談社文庫)/赤川 次郎
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 第1作で次女・夕里子、第2作で長女・綾子をフューチャリングした『三姉妹探偵団』ですが、第3作では副題の通り三女・珠美をクローズアップしています

 佐々本姉妹は、おっとりの長女、しっかりの次女、がっちりの三女とよく言われます

 今回のヒロインである三女・珠美は極めてシビアな金銭感覚を持つ、吝嗇家です

 何をするにも損得勘定が働いて、転んでもタダでは起きないタイプですが、愛嬌のあるちゃっかり屋の部分もあり、なぜか憎めないキャラクターです

 そんな珠美が今回損得抜きで人助けに奔走します

 「あの」珠美にそんなことをさせるのはどんな人物なのか、気になりますよね(笑)


 今回の作品では、姉妹の信頼感の強さを感じました

 三女・珠美の庇う相手は殺人事件の容疑者

 珠美は彼が犯人ではないことを信じて匿います

 普通であれば、それを知った他の姉妹たちは浅慮な妹を責め、黙って警察に通報するでしょう

 しかし、佐々本姉妹のすごいところは闇雲に珠美を詰問せず、珠美の主張をきちんと聞くところです

 基本的に妹を信用しているのです

 そして人を外見や風評で判断しないこと

 これは姉妹全員に共通した長所です

 そんな佐々本姉妹の信頼関係と長所が気持ちをあったかくしてくれる作品だと思います


 さて、あらすじです

 佐々本家の三女・珠美は、ひょんなことから殺人事件の容疑者とされる勇一少年と知り合います

 勇一少年は札付きの不良なことから何かと誤解されているが、母親を殺した犯人を自分ひとりで探し出そうとしていました

 そんな勇一に同情した珠美は、勇一を匿い、犯人探しに協力します

 捜査に奔走するうち、珠美に危険が迫ります

 どうなる?珠美!?