探偵倶楽部 (角川文庫)/東野 圭吾
¥540
Amazon.co.jp


 角川文庫の「旅のおともに角川文庫」フェアにラインナップされている作品

 探偵倶楽部とは、会員制の調査機関の通称です

 小説の中の探偵と言えば、皆の前で華麗に、そして鮮やかに事件を解明してみせるのがお約束

 『探偵倶楽部』を書かれた東野圭吾さんの別の作品『名探偵の掟』にも書かれています

 しかし、『探偵倶楽部』から派遣される2名の男女は、そのお約束とは真逆です

 黒いスーツに身を包み、美男美女でこそあるものの、目立った行動は全くしない

 自分たちが探偵であることも、雇い主にしか明かさない(本当はそれが基本なのでしょうが 苦笑)

 まるで忍者です

 会員制の調査機関なので、雇い主が皆VIPなので、扱うネタも機密性が高く、隠密行動が止むを得ないという設定です

 5編の短編が収録されていますが、扱う事件は人死に関わることです

 中には殺人事件の真相を警察よりも正確に看破している話もあるのですが、秘密厳守という探偵倶楽部の決まり上、警察沙汰にはしません

 飽くまで依頼主に対する報告だけを行いますが、それがまた不気味です

 警察に話すかどうかの決定権は依頼者に委ねられ、探偵倶楽部は一切の関知をしません

 ですが、探偵倶楽部は真相を知っているのです

 依頼者の良心が試されていると言っていいと思います

 その後どうなったのかは触れられないので不穏な感じが残ります

 ちょっと背筋が寒くなるようなミステリ

 夏向けかもしれません(笑)