死神の精度 (文春文庫)/伊坂 幸太郎
¥550
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 この作品も、文春文庫「いい男の35冊フェア」にラインナップされている作品です

 主人公は、仕事をするときはいつも雨、の死神・千葉さん

 いやぁ~、死神なのに千葉さんって…

 親しみやす過ぎでしょう?

 死神なんて人の命運を左右するような商売(?)してる人(??)の名前じゃないですよね

 死神というのはもっと禍々しいイメージだったのに、この秀逸なネーミングセンスのお蔭で話にすっと入っていけます(笑)

 もっとも禍々しくないのネーミングだけではなく、千葉さんの人柄も禍々しさとは程遠いものです

 死神と通じるところがあるとすれば、ミステリアスさ、くらいでしょうか…

 つかみどころのない不思議ちゃんな雰囲気があります

 いい男、なんですかねぇ…

 映画で主演なさっていた金城武さんは文句なくいい男ですね♪

 『死神の精度』も以前別のブログに掲載した感想があるので、転載したいと思います

 千葉さんの死神としての仕事(!)は、人の死を決行するか否か、見極めをすること。自分の決断が人間の生死を左右するのにもかかわらず当の本人はそんなことはどうでもよく、ミュージックにしか興味がありません。

 でも仕事は仕事。やるべきことはやる主義の千葉さんは、見極めのための1週間、死を予定されている人間に近づき調査をします。

 その調査の過程、つまり人間の最後の1週間を、千葉さんは淡々と、自らの心の揺らぎすらも淡々と、語っていきます。

 名前の親しみやすさとは相反するクールさ。

 ここでもやられた!と思わされます。



 この作品は6人の人間のストーリーを収めています。

 その6つのストーリーの繋がり、時間の流れに気づいたとき、3度やられます(笑)



 運命とは人一人の運命ではない。

 人と人との繋がりが相互に作用しあってこそ運命が形作られる。



 物語のラストは、千葉さんの下してきた判断、まさに〈死神の精度〉が評価される瞬間です。