- 電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (文春文庫)/石田 衣良
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世の中には如何ともし難いことがたくさんあるな~という事実を突きつけられるような作品です
皆が幸せになるためにはこういうふうにしたほうがいいということは、本当は皆が知っていると思います
人に親切にしようとか
子どもを慈しむとか
子どもに等しく教育を受けさせるとか
食べ物を粗末にしないとか
人を傷つけてはいけないとか
そんな基本的なことを皆ができていれば、この世はずっと住みやすくなるはず
でも、できない人たちがいる
自分さえよければ、人を踏み台にしても構わないと考えている人々
人の苦しみや痛みを想像することができない人々
悲しいことですが、そういう人がいて、そういう人に虐げられている人がいるのがこの世の現実です
悲しい現実の中で希望があるとすれば、マコトのような弱きを助け悪を挫く人間もいるということ
マコトはバリバリの正義のヒーローではありませんが、人に対する優しさや思いやりと儘ならない現実の狭間で苦悩しながら、より良い道を模索していきます
本作には、そんな人間くさいマコトが描かれています
『東口ラーメンライン』
ラーメンブームが巻き起こる池袋東口でしのぎを削るラーメン店
元Gボーイズのツインタワーがオープンさせたラーメン屋への営業妨害を阻止するのがマコトのミッション
犯人は難なく割れたが、店の従業員あずみが犯人を襲撃
店を思う故の激情の影に、彼女の悲惨な過去が…
『ワルツ・フォー・ベビー』
未解決の殺人事件の被害者の父と知り合いになったマコト
彼に頼まれ事件を調べるが、そこに待っていたのは皆が皆被害者という居た堪れない真実だった
明確な敵のいない事件に苦悩するマコト
被害者の父が下した決断に、マコトならずとも最高にしびれた
『黒いフードの夜』
天使のように素直で家族思いの優しい少年がどうして残酷な境遇に置かれなくてはいけないのか
少年を食い物にする大人
少年の祖国の政治情勢
日本も天国ではないけれど、少しマシなのは、マコトがいること!
『電子の星』
ダメ男がちゃんとした負け犬になるまでの話
負け犬になるためには、戦わなくてはいけない
戦いから目を背けなかった男は、喩え負けても胸を張ってこう言える
「俺はやった」と――
失踪した親友を探して上京したテルに協力することになったマコト
テルの友達は、自殺体で発見される
自殺の背後には、最近売り出し中のSMクラブの存在があった
SMクラブを壊滅させるべく、マコトとテル、そしてタカシとサル、サルの手下のギンジが立ち上がる