骨音 池袋ウエストゲートパーク3/石田 衣良
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大好きな池袋ウエストゲートパークの第3弾です

毎度お馴染みの池袋のトラブルシューター・マコトが活躍する話が4編収録

マコトの魅力は義理人情に厚いことというのは今までの作品の紹介でも書いてきましたが、彼のカッコよさはそれだけではないなぁ、と本作品を読んで改めて感じました

彼のカッコよさは、池袋という街を心から愛していること

素っ気ない語りの中に地元愛の熱い気持ちが感じ取れます

それから同じ街に住む人々を大切に思っているということ

同じ地元の仲間意識と相互扶助

現在の日本では忘れられかけている助け合い運動

マコトはそれを鼻にかけず、当然のように行っていて、その自然体さがクールだと思います

それから、今回の作品では、そういうマコトが生まれたルーツを垣間見ることができます

それはマコトのお母さん

いつもマコトに冷ややかだったお母さんですが、実はとっても熱い人

義理と人情に厚い、鉄火肌の江戸っ子気質

弱いものが虐げられているのを放っては置けない姐御肌

そういう人に育てられたマコトだからこそ、池袋最強のトラブルシューターになれたのだと実感しました


『骨音』

一番速くて最高にクールな天国の音、それが骨音――

池袋で連続ホームレス襲撃事件が起こる

ホームレスの顔役、新さんの依頼で犯人を追ううちに、人気のゴシック系インディーズバンドに辿り着く

最高の音楽を目指すが故の狂気が背筋を凍らせる


『西一番街テイクアウト』

サンシャインシティの噴水前で夜な夜な読書をしている奇妙な少女を助けたマコト

少女の母親・ヒロコは、春を鬻ぐホステスだが、働いている店のエリアを縄張りにする暴力団から売りをするなと脅され、暴力まで振るわれている

娘を養育するために体を張って仕事をしているヒロコに同情したマコトの母親が立ち上がる!


『キミドリの神様』

池袋でのみ使用可能な地域通貨・ぽんどの偽札騒動の解決を依頼されたマコト

景気の落ち込み、働きたくても働き口がない若者のための雇用を創出しようとの志を持つNPO団体代表・小此木の心意気に打たれたマコトは、早々に偽札作りの犯人を突き止めるが、話はそこでは終わらなかった

小此木の背後にちらつく黒い影

池袋に生まれた救世主の栄光と挫折、そして再生


『西口ミッドサマー狂乱』

レイヴとは、もともとは荒れ狂うという意味の英語

だが今では、クールな音楽に乗せて踊り狂う若者の集いを意味する

より多くの興奮を得るため、疲労を感じずに踊るために用いられるドラッグ

レイヴとドラッグは切っても切れない関係だ

しかしスネークバイトと呼ばれるハードドラッグが出回り始める

レイヴのオーガナイザー・御厨ソウメイの依頼で、売人組織・ウロボロスを追うマコト

その最中、スネークバイトによる集団薬物中毒事件が発生

こともあろうに犠牲者が…

時を同じくしてウロボロスは、スネークバイトの販売拡大に乗り出す

若者を凶悪な薬物から守るため、マコトが闘う