熱帯安楽椅子 (集英社文庫)/山田 詠美
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 先日、私の尊敬する師匠が、カンボジアに旅行をなさったという話を聞きました

 なんだかバカンス!という感じでいいですよね、熱帯地方

 私は夏が好きなので、常夏の国に強い憧れを抱いているのですが、なかなか行けないでいます

 というよりは、行くのが怖い

 何故かというと、自分がダメ人間になりそうだから

 ただでさえダメダメなのに、これ以上怠惰になったら人間失格っす

 だから、お土産話が大好きです

 人の目を通した外国の話を聞くのが好き

 大好きな人のセンスに濾過された、エッセンスの話が好き

 その人の目に映った光景を思い浮かべるのが好き


 というわけで、南の国の話を聞いていて、思い出したのが今回ご紹介する山田詠美さんの『熱帯安楽椅子』です

 学生の頃、この本がきっかけで山田詠美さんの世界にはまり、山田作品はけっこう読みました

 お話は、恋に破れた女流小説家が、友人の勧めに従ってバリへ旅行する、というものです

 奔放な彼女は、バリで出会う男性とたくさんの恋をし、バリの土着の文化に触れ、自然に触れ、エネルギーを充電していきます

 山田詠美さんの作品を読んでいると、体だけじゃダメ、心だけじゃダメ、ということがひしひしと伝わってきます

 体も心も満たされたとき、霧が晴れたように視界が開け、山も海も空も、花や木や鳥たちや、生きている全てのものが鮮やかに感じられる

 そういうことが分かる気がする小説です