ぼくの美しい人だから | Lonely Flight

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ひとりで音楽を聴いたり映画を観たりするのが好きです☆彡

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ぼくの美しい人だから(原題:White Palace)/グレン・サヴァン


きれいなタイトルに惹かれ古本屋で手にとったのですが(だからちょっと汚くてすみません)…
タイトルからのイメージと違って少しびっくりしました。

簡単に言うと41歳の女性ノーラと27歳の男性マックスのラブストーリー。

サガンの「ブラームスはお好き」も似たようなテーマですごく好きな話だったのでそういう感じかなと思ったら、こちらはもっと濃厚で複雑でした。
(そういう話ほどハマってしまうんですよね[みんな:01]


現在では日本の有名人でも年上の女性と結婚する男性が多いですし、なんら珍しいことではありませんが、80年代はまだかなり偏見が残っていたのでしょうか。
(現在でも偏見を持っている人はいるかもしれませんね)

この物語ではさらに社会的地位や階級の問題も絡んでいます。



マックスはルックスも良く、生活も安定しているエリート広告マン。
2年前に妻を亡くしているがその妻も美人で、彼にとって自慢の妻だった。

一方のノーラは息子を亡くし、夫に捨てられ、White Place(比較的貧困層の多い地域によくみられるハンバーガーチェーン店だそうです)で働きながら貧しい暮らしをしている。
当然学歴もなく、美人でもない。

マックスはノーラに惹かれながらも、彼女を周囲に紹介することをためらう。

ノーラは学歴がないからといって、馬鹿なわけではない。
辛い経験をしてきたからと言って、特別強いわけではない。
マックスが自分を恥だと思っていることに気付き、そして深く傷付く。

ノーラがマックスのためを思って姿を消した後、マックスは会社を辞め今までの生活も捨て、貯金も全ておろし彼女を探しに行く。



ざっくり説明するとこんな感じです。
勿論こんな単純ではないのですが。

驚くことに、私はマックスとノーラ、どちらにも共感できました。
(当然どちらに近い経験もしたことがないのに)

逆にどちらにも共感できないという方もいると思いますが、そういう方にとってはつまらないのかもしれません。







ぼくの美しい人だから [DVD]/スーザン・サランドン,ジェームズ・スペイダー,ジェイソン・アレクサンダー

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映画はかなり簡略化されていました。

ラストが原作とは少し違います。
「ティファニーで朝食を」と似たような現象が起きています(あれ程変わってはいませんが)。
確かに映画ではこういう終わり方の方がスッキリしますね。

女性の方にだけ都合の良い話という見方をする人もいるみたいですが、原作者が男性だというのも興味深いです。


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マックス役は文句なしのイケメン俳優、ジェームズ・スペイダー。
(久しぶりに素敵な俳優さん発見!)


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見て下さい、この絵に描いたような日本人(私)好みの顔!笑


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スペイダーさん、この映画での演技の評価はあまり良くなかったそうなのですが、マックスがノーラとの関係で思い悩む場面や、終盤人が変わってしまったようになる重要な場面が映画ではカットされてしまっていたため仕方ないのでは?というスペイダーびいきの意見です[みんな:02]

スペイダーさんについては色々と言いたいことがあるのですがそれはまた後日。


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ノーラ役はノーラにしてはちょっと綺麗で華やかすぎるかもしれないスーザン・サランドン。
ノーラは原作では黒髪で褐色の肌という設定なのでイメージとは少し違うのですが、演技力を優先したためでしょうか。


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この方、「魔法にかけられて」のあの魔女役の方だそうで、個性派&演技派な女優さんですね。







この映像では分かりにくいのですが、スペイダーさん、声もかなり素敵です。

ちなみに予告編と本編ではラストが異なります。
理由はよく分かりませんが撮り直しされたみたいです。









マックスとノーラは趣味も正反対。

シェイクスピア、ドストエフスキーをはじめとする名作(私の大好きな「ジェーン・エア」、「風と共に去りぬ」、「高慢と偏見」なども)を好むマックスに対し、ノーラが読むのはマリリン・モンロー関連の本ばかり。

またマックスが好きなクラシック音楽に対してもノーラは「頭が痛くなる」と言い、代わりにオーク・リッジ・ボーイズを注文します。


上の動画はオーク・リッジ・ボーイズと、口パク少年キーナン・カーヒル君のコラボ映像[みんな:03]









映画ではカットされてしまいましたが、マックスが安アパートの部屋で一人、隣の部屋から聞こえてきた"You'll Never Walk Alone"を聞きながら感傷に浸る場面が結構好きでした。

この曲は「サウンド・オブ・ミュージック」なども手がけたリチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世によってミュージカル“Carousel(回転木馬、1945)”のために作曲されたそうです。

エルヴィス・プレスリー、フランク・シナトラ等様々なバージョンがありますが、こちらは個人的に気に入ったノルウェーのテノール歌手、Marius Roth Christensenのバージョンです。







この曲、現在ではリヴァプールをはじめとするサッカーチームのサポーターが歌う応援歌としても使用されているそうで、また昨年の大震災の時も様々なところで流れていたみたいです。

でもここでは「みんなで力を合わせて頑張ろう」というよりは、自分で自分を励ます、「上を向いて歩こう」みたいなイメージで使われていると思います。(あちらはひとりぼっちで歩くという意味では正反対ですが。)

そんなイメージにぴったりだったのがジュディ・ガーランドのバージョン。
これは晩年に歌われたものでしょうか。
「オズの魔法使い」で“Over The Rainbow”を歌っていた時の声とは違います。
彼女も薬物に溺れ、孤独な晩年を送ったことで有名ですね。

この映像の途中に出てくる
“I can live without money
but I cannot live without love”
(お金がなくても生きられるけど、愛がなくては生きられない)
というジュディの言葉は、この時のマックスにぴったりだと思いました。