日本の文化の美徳の一つとして「他人に迷惑をかけないように振る舞う」が挙げられる。そしてそれがもっと磨かれて『おもてなし』として他人に喜んでもらうようにもてなすことが当たり前になる。

 

前職の日系HR時代は、日本からの出張者の『おもてなし』でどれだけの時間と労力をかけたか知れない。来るのは大人なのに朝から晩まで分単位で予定が組まれ、ロンドンの超一流のハイヤーを雇い、あちらこちら「出張」という名目で移動されていた。

 

実はこの仕事が大嫌いであった。

 

ロンドンに出張に来ると、大抵ヨーロッパまで足を延ばすのだが、またこの飛行機がキャンセルされた場合のプランBどころか、プランC・Dまで我々現地スタッフが考えなければならないのだ。

「私たちは旅行代理店ではないですよね」と当時のマネージャーに嫌味を言ったことも懐かしい。とにかくそれくらい日本人同士となると気を遣う。

 

現在100%外国人環境で働いて感じるのは、ここの違いである。

外国人は、何かのアイディアを思いついたり、その場で自分の意見を述べたり、何かあった時にどうにかする能力は高い。

 

だがそれ故、事前準備がゆるいのである。「何かあった時に対処をすれば良い」というよりも日本人が考えるほど細かいところに考えが及ばないのである。

(もちろん人による)

 

現在、インターンシップで学生が10名程弊社に6週間研修にきているのだが、その初日もあれだけ準備期間があったにも関わらず「〇〇のPCがない」「△△(学生)はすでにマネージャーが部署に連れて行った」「この人の名前がリストにない」だのなんだのって、朝からビルを行ったり来たり。「またこれ?あんぐり」感満点であった。マイクロマネージャーですら「計画通りだったね」と皮肉を込めてジョークを飛ばすほどであった。

 

結局、誰かが事故だったり飛行機に遅れたりということはないので一日の終わりには何事もなかったかのように過ぎ去るのであるが「ちょっと日系でこの事前準備だったらチームリーダーめっちゃ叩かれそう」のレベルである。

 

ところが英国人の場合、このあたりの『責任転嫁術』も長けている。

「事前に〇〇にXXしておくように言ってたのに」と絶対やっていないことでも平気で誰かのせいにする。周りが「そう言われちゃうとあなたのせいじゃないよね。」と空気が変わる。

 

おかめは日系気質なので、当日慌てないように事前準備を怠らないが、逆に予想外のことが起きると慌てる。アドリブ力も弱いのですぐ「ごめんなさーい!」と言って事を済ませようとする。損してる気がする。

 

この中間があれば一番良いのだけど、なかなかそうもいかないのがお仕事なんですよねチーン