さて、やっと最後の一人となった。

最後の一人である彼女はUKのHRトップ。UKCEOの直下の部下の一人にあたる。年齢はまだ40歳未満。1月の下旬に二人目の産休から戻ったばかりだ。

彼女の素晴らしいところ、それは「Fairness(公平さ)」と「行動力の早さ」。

私が入った初日にまずチャットでメッセージをくれたのは彼女だった。インタビュアーは彼女ではなかったので、またまた顔と名前が一致していなかった。オフィスで会った途端「Hello~I have been waiting for you!」とものすごい高いテンションで迎えてくれた。彼女もまたそのポジションの割に、down to earthな人柄で、紅茶にゴミが入っていても「Don't look」と言いながら飲めるような女性だ。全く気取らない。

彼女のすごいところ。良いと思ったことはすぐに取り入れる決断力、そしてきちんと「そう思わない」とか「確信がないので確認させて欲しい」と自身の上司にハッキリ申し入れることができる強さ。HRと言う部署は所謂なんでも屋で、他の部署の担当でないものはすべてHRにくる。そのカバー範囲は恐ろしく広い。どれだけ時間があっても足りないくらいの仕事量なのに、母として必ず4時前にはロンドンオフィスを出て2時間くらいかかる郊外へ帰る。

仕事場にいる時は抜群の指示力でレポートライン関係なく「あれは今どうなってるか」「この状況をいつまでに報告してほしい」と槍がビュンビュン飛んでくる。だが確実に成果を上げて、HR会議では必ずみんなの貢献に感謝することを忘れない。

そして羊飼いのように羊を一匹でも置いていかないよう常にチーム全体に目を配らせることが自然にできる。会議で外交的な人の発言が続くと必ず「〇〇はどう思う?」と内向的な人にも発言の機会を与える。会社のカルチャーを目標ではなく実践する人そのものなのだ。

 

昨日の女性管理職も、今日のこの人事トップも決して「女性だから」という理由でこの地位にいるわけではない。男性にはないしなやかさだったり人の気持ちを慮れるスキルをこのポジションで発揮できての女性管理職なのだ。男性に負けじとばかり気張ってガムシャラに働いているわけでなく、女性ならではのリーダーシップの在り方のお手本を私たちに体現してくれる存在である。

 

適材適所と言う言葉がある。私にとってこの三人の存在は大きい。役職としての距離は計り知れないくらい遠いが、彼らの御蔭で私が今この組織で身に着けたいことが見えてきたような気がする。