祖父の「食育」と「旅育」 | PRMROSE代表 菓子研究家 牟田彩乃 公式ブログ

PRMROSE代表 菓子研究家 牟田彩乃 公式ブログ

メゾン・プリムローズ株式会社 代表取締役。元ANA国際線CA、菓子研究家、旅の専門家。
2021年に3冊目の新刊「英国菓子 知っておきたい100のこと」発売。ANA国際線CAを経てパリ、中東、ロンドンで暮らす。










「旅育」という言葉があるように、「旅」は学校や家では出来ない人生体験に溢れている素晴らしいものだと思います。




我が家では、家族旅行の時にはいつも一つ目標を作っています。例えば自分の荷物は自分で持つ、疲れても文句を言わないなどという小さなことから、キャンプであれば、怖がりの息子と夜暗い中散歩へに出かけて、夜でも月や星が明るいし怖くはないんだよ、ということを知る。農家に宿泊するアグリやファームハウスでは動物や自然と触れ合い、自分で収穫した野菜や卵で料理をする・・など。





そして、ホテルに宿泊した時はルームサービスではなく、ふさわしい服装を整えてレストランで朝食をいただくようにしています。(写真は、フォーシーズンズホテル ミラノでの朝食の時のもの。)

 




毎日のホテルのレストランでの食事は、日ごろはあまり経験することのない貴重な時間です。本物の器に触れること、雰囲気に慣れること、周囲への気配りも忘れない家族の会話を楽しむ事、それが家族のあたたかい思い出として残ってくれたら・・・ということが私の願いです。




それには、私の尊敬する祖父の影響が大きくあります。

現在90歳えを過ぎた祖父は食に大変厳しい人で、昔から出来る限り添加物、悪い油はとらない、バター、塩は良質なもの、などこだわりを持ち、今でも元気な時は自ら買い物に出かけて手間暇かけて料理をしています。ルーから手作りするカレーやビーフシチューはひ孫でもある子ども達も大好物です。




そんな祖父は私たちが物心ついたときからテーブルマナーを身につけられるように、と洋食屋さんやフランス料理のレストランへよく食事へ連れて行ってくれました。





とはいえ厳しすぎると、食事の席が苦痛になってしまったというご経験がある方もいらっしゃると思うのですが、祖父に一番感謝しているのは、失敗があっても決して厳しく叱ることはなく、むしろ自らふざけてみたりして、マナーはもちろん大切だけれど、細かいことは気にし過ぎるな、楽しく食べるのが一番大切だよ、と身をもって教えてくれたこと。そのお蔭で、レストランでの家族団欒の時間は私にとってあたたかく楽しい思い出のあるものになっています。 




10代の頃から世界中、どのようなレストランやホテルへ出かけてもく、嫌な思いをすることなく楽しむことが出来たのは祖父のお陰だと、改めて感謝を感じています。





良いサービスを受けられるか、そうでないかは、自分自身の問題でもありますね。





子供たちには、どのような国の、どのような場所に出ても、ありがとう、こんにちは程度はその国の言葉で笑顔で伝える。初めて見るお料理があったら嫌がらず楽しんでチャレンジしてみる、臆する事なく欲しいもの、イエス、ノーを自分の言葉で伝える。ということから習慣にしてもらいたいと思っています。恥ずかしがり屋の娘などは、その辺り時間がかかりましたが回数を重ねると随分と自信もついてきました。小さい息子はまだまだ飽きてしまったりしますが、それぞれのペースで良いと思っています。





将来どのような席についても、堂々と自分らしく楽しめるように。

その為にも、マナーを知り、作った方に敬意を払い、食材に感謝の気持ちを持ち、気持ちの良いサービスを受け取るにふさわしい人に育ってほしいと思っています。





祖父が教えてくれた食事を楽しむこと!人生を楽しむこと!

その心を子供たちにも伝えていきたいと思った旅でした。





皆様も、是非「旅育」楽しまれてみてくださいね!