瀬戸内寂聴に初めて強い関心を抱いたのは、彼女が辻仁成のラジオ番組にゲスト出演してから。
辻さんと寂聴さんはとても仲良し 寂聴さんのおちゃめな点は、いつまでもイケメンで若い男の子が好きなところ。尼増とはいえ、マインドは普通の女性より色っぽいのです
ラジオで彼女が言っていたことが忘れらない。あの明るいパワフルな語りに圧倒され、その説得力のある言葉が17年経った今でも心に残っています
ラジオを録音してあったので、そのまま彼女の言葉を綴ります。
孤独について
「孤独だと感じたことのない人っていうのはね、友達にするに足りないですよ。そんな人はね、思いやりがないのね。思いやりがないってことは、愛もないってことですよ。愛するってことは、思いやることだし、相手の淋しさがわかる人だし、相手の苦しさがわかる人だからね。だから、そういう人じゃないと一緒に暮らしたってつまらないじゃない? それでね、例えばね、恋人がいても、家族と仲良く暮らしていたってね、それでも孤独なんですよ、本当は、気がついてみるとね。自分と同じ心を持っている人なんてのは、世の中にいないんだから。だから、自分は本当に生まれた時から死ぬまで孤独だとね、もう、覚悟しちゃえばいいのね。するとね、あの人も孤独なんだ、この人も孤独なんだと思えばね、じゃあ、だから手を握りましょう、ってことになるんですよ」
若者へのメッセージ
「世の中はね、無常といって、常に変わるというんですよ、仏教ではね。例えばね、今日悲しくってもね、明日は必ずその悲しさは続かないのね。今病気でも、それは必ず治るのね。今幸せでも、その幸せはいつ壊れるかわからないの。だから、そういう気持ちで生きていれば大丈夫と思いますよ。世の中は無常だから、今幸せだったら、出来るだけそれを大切に守って。今悲しければ、その悲しさはいつまでも続くもんじゃない。必ずね、またいいことがある。同じがずっと続くわけじゃないんですよ。で、済んだことをクヨクヨしたってしょうがないじゃないの! だから、クヨクヨしないで!」
文章にすると寂聴さん独特の語り口が伝わらずもどかしいのですが、しみじみとなんていい言葉たちなんだろうと感動します。
このラジオをキッカケに私は彼女の書籍を読んだり、新聞連載を読んだり、人生の節目節目で触れる機会がありましたが、実際に生の寂聴さんと会えたのは、辻さんと寂聴さんの講演会でした。2007年11月京都にて。生の語りを聴けて、心底嬉しかったのを覚えています。
そして、去年の9月。源氏物語千年紀を記念した講演会に主人と2人で仲良く出かけました。これは名古屋でした。彼女が話す光源氏の話はマジ面白いです。浮気三昧の源氏を想う女たちの苦悩を語らせたら止まりません!
声はパワフルですが、歩かれる際にちょっとおつらそうだったので、どうかどうかお元気でずっと悩む私たちとの対話をして欲しい、と願います。
『奇縁まんだら』には貴重な文士らとの交流が描かれているので、読まなきゃっと思います