挨拶

こんロリ~ロリちゃんです。今日は私の最推しVTuber領国つかさ閣下をモチーフにした小説を書いてみたよ~

人生初小説。自然と筆が進んでいい感じにかけたと思うよ~

それでは、本編へGO

※この作品はフィクションです。実在の人物団体等とは一切関係ありません。特にVTuber領国つかさの配信内容・活動を反映しているとは限らないことを明言します。

  亡国のアルカディア―暗黒国王・領国つかさの策略―

 近年、神聖帝国アルカディアでは失踪事件が多発していた。噂によると、北方の森林地帯で「つかさキングダム」なる居城を築き法に背く集団がおり、彼らは迷い込んだ無垢なる人々を強引に「入国」させている…そうである。集団の主は暗黒国王領国つかさ、自身の名をルナティック・涅槃・アブソリュートと称している。彼女は帝国内において様々な"悪事"を行い、"悪魔の子"と称された(冤罪とする声は帝国秘密警察によって完全に抹消された)。そして北方の極地にある監獄"アビス"に幽閉されていたが、脱獄を図り森林地帯に籠城している。彼女の輩下は"領国民"と呼ばれており強い結束力と卓越した戦闘スキルで有名である……

 「はぁ、なんで俺がこんな目に…」報告書に目を通すだけで自然と溜息が出てくる。溜息の主はマルキオン。皇帝親衛隊の第7部隊隊長であり、今回の失踪事件調査隊のリーダーを努めている。
「しょうがないでしょ。皇帝陛下の命令よ」そう宥めるはクラウディア。彼女は帝国軍特殊部隊の救護担当に最年少で成り上がったエリートである。
「いいだろ。100万デナリオンの前金、成功報酬は500タラントンって話だ。一生遊んで暮らせる金だぜ!」鼻息を荒らげて豪語するはディオニシウス。帝国軍の荒くれ者で付いた二つ名は"悪虐非道のディオ"。ただし、実力は確かな戦闘部隊のエースだ。
「ディオニシウス。欲望がダダ漏れですよ。これでは相手につけこまれて無様に敗北…なんてこともあるかもしれません」肩を竦めるのはペラギウス。帝国の戦略研究所のエースで、今回の作戦における戦略担当である。


 彼ら4人が今回担当するのは、「つかさキングダム」の実態調査と暗黒国王「領国つかさ」の身柄確保。多数の領国民に対したったの4人で挑む必要があるため、慎重な計画が求められた。
そこで今回彼らが選んだのは「隠密作戦」。近々領国民がアルカディア内で大々的な闇取引を行うということが帝国情報部の調査によって判明した。その警備が最も手薄になった隙に侵入、警護の領国民を無力化しその後、彼女…「暗黒国王」の身柄を確保するという作戦だ。
「そんなに簡単にうまくいくかなぁ…」と漏らすマルキオンに、
「このディオ様がついているから大丈夫だ!それにペラギウスの作戦だぞ」と返すディオニシウス。
こうして「領国つかさ捕獲作戦」が実行されたのだった……

「「えっ…」」と拍子抜けする4人。手練れだと聞いていた領国民はものの数分で全員無力化。そして彼らは今「王の間」の扉の前に立っている。
「情報と違いすぎます。これは何かの罠かもしれません」と警戒するペラギウス
「そうね。ここは一旦精査したほうがいいわ」とクラウディアは賛同する
しかし、「そんなまどろっこしいことができるかよ」とディオニシウスは扉を蹴破ってしまう

 部屋の中にはただ独り。暗黒国王「領国つかさ」がその背丈には似合わない巨大な玉座に腰かけていた。月に照らされて輝く銀髪、陶磁器のような美しい白い柔肌に吸い込まれそうな深紅の眼。そして異邦の軍服を着た身長143cmの少女は、そのだらしない姿勢に反して威厳を放っていた。


「あなたが、暗黒国王『領国つかさ』?」とクラウディアはその少女に尋ねる。
「いかにも。我こそが暗黒国王である。しかし名を訂正せよ、ルナティック・涅槃・アブソリュートであるぞ」とその少女は欠伸をしながら返す。
「分かったわ、ルナティック。あなたはどうしてこんな事を?」と再度質問するクラウディア
「まぁ、成り行きでな。貴様らに返答する必要はない。僕はこの前まで中学生だったのに」小声で呟く少女の声は哀愁を纏っていた。
「めんどくせぇ、要はこのガキをとっ捕まえれば終わりだろ」とディオニシウス
「黙れ!僕に向かってなんと不遜な!」暗黒国王のただならぬ圧にディオニシウスは慄然とした。この少女、只者ではないと悟ってしまう。
「あーあ、興が醒めた。""額ずけ""」
その一言でパーティは全員床に額を磔にされてしまう。ただ一人、マルキオンを除いて。


「ほう…僕の言葉に背くとは、貴様やるではないか。貴様には、暗黒国王ルナティック・涅槃・アブソリュートが直々に相手をしてやる。光栄に思え」と領国つかさは不敵な笑みを漏らす。
「くっそ、なんだこれ…身体が」
「解毒魔法…使えない!?」
「すみませんマルキオン様。我々は戦力になれません。あなたにご武運があらんことを」
どうやらマルキオン1人で戦わなければいけないようだ。彼は腹を括った。
「仕方ない、俺が相手だ。かかってこい」
「それは僕のセリフだ。そっちからこいよw」
完全になめ腐った態度にマルキオンは…


「喰らえ。最上級魔法『エターナルフォースブリザード』」
エターナルフォースブリザード…
それは一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる最強魔法。帝国魔法省により”禁忌”認定をされた最上級魔法の一つ。人間相手に用いれば即死を免れることはできまい。
しかし…
「あー、ちょうど暑かったんだよねぇ~感謝感謝」
「なっ…」マルキオンは絶句した。自慢の最上級魔法は少女を氷漬けにするどころか、装飾の一つも傷つけることができずに雲散霧消してしまった。暗黒国王に対して魔法の類は一切効果がないとでもいうのか。
「それなら…!」とマルキオンは策を転じる。精霊の加護を得た魔剣グラディウスを少女に振りかざす。だが…
「遅い」の一言と共にマルキオンの手に激痛が走る。少女は魔剣の一撃をひらりと躱し、マルキオンの腕を掴んでいた。そのことにマルキオンが気づいたときには、彼は天井を見上げていた。小柄な少女はいとも簡単に親衛隊長を投げ飛ばしたのである。


「チェックメイトだ、少年」その言葉で我に返るマルキオン。その喉元には魔剣グラディウスが突き付けられていた。
「くっ…俺はここまでか…。だが俺一人を倒したところで帝国は黙っていないぞ。それに俺の仲間も…」と強がったマルキオンに
「仲間?ああ、あそこの”領国民”たちのことか?」とあっけらかんと返す暗黒国王。
マルキオンが視線を向けると、そこには”かつての”戦友たち”がいた。人が変わったかのように暗黒国王に熱烈な視線を向け、「ぎょ…ぎょ…」等と意味不明な言葉を発する3人を見てマルキオンは絶句した。
「ああ、あとアルカディア帝国だっけ?あれももうじき僕のものになる」
「何を!?」と驚愕するマルキオン
「まさか、貴様らがここに来ることを僕が知らなかったとでも?すでに帝国内部には僕の”輩下”たちが大量に紛れ込んでいる。アルカディア帝国の情報はこちらに筒抜けさ。その上、こちらの先鋭部隊”如月”も派遣した。内外からの攻撃で首都は陥落。全員が僕に忠誠を尽くす『最強の国』の誕生さ…!最初から全て僕の掌の上だったわけw」
「なんてことだ…帝国を破滅に追いやるとは。領国つかさ、なぜこのようなことを…!」
「ルナティックな。あー、しょうがない理由を話してやるか…」
少女の口から語られたのは、愛国者マルキオンにとっては信じられない事実の数々だった。


 生まれた時から特殊能力が扱える”普通の少女”領国つかさ。しかしその異能ゆえに常に帝国秘密警察の監視下に置かれていた。中学生の時に、いじめられていた少女を助ける際に能力が暴走していじめ主犯格を殺害してしまった。それがきっかけで帝国法に則らない”極秘裁判”が行われ、中学生にして重罪人の流刑地”アビス”に送致されてしまった。彼女は腐敗した帝国体制の打倒を目指すべく、固有能力”チャーム”を用いて囚人たちを”領国民化”し、着々と復讐の準備を進めていたのだ。

「そんな戯言、信じられるか!」と感情的になるマルキオン。帝国に身を置くものにとって、皇帝陛下の支配は絶対かつ無謬のものである。それを覆すような少女の発言に聞く耳をもたないのは当然だ。
「まぁ、真実とかどうでもいいでしょ。今ある結果を見なよ、”親衛隊長”のマルキオンさん」
少女の醒めた言葉にはっとさせられる。喉元の剣は退けられることはない。彼は生殺与奪の権を少女に握られている。そして、仲間は全員寝返ってしまった。完全に”ゲームオーバー”である。
「俺を…殺すのか…」しゃがれた声でマルキオンは問う。
「ククッ…久しぶりに”愉しませて”もらったからねぇ…殺すのは惜しい。僕と対峙してここまで耐えたのは君が初めてだよ、マルキオン。なぁ、僕の"輩下"にならないか?なぁに、悪いようにはしないさ(暗黒微笑)」
「だ、誰がお前の輩下に…!」反射的にマルキオンは憤る
「だよねぇ。君ならそう言うと思ったよ…仕方ない、あれを使うか」少女がポツリと呟くと、彼女の左目が発光し始めた。暗黒国王の特殊能力の一つ”チャーム”の顕現である。マルキオンは目を背けようとした。しかし、一瞬でも視界に入れば最後。彼の顔は硬直してしまう。


 そして、その瞳の奥底にある”深淵”を彼は覗いてしまった。少女の15年分の記憶が彼に流れ込んでくる。アルカディア帝国の腐敗は真実であった。そして少女の民を想う気持ちに偽りはないことを知った。彼女、ルナティック・涅槃・アブソリュート様こそが唯一の王であるべきという確信がマルキオンの中で確実なものとなっていく。実は彼女のチャームには絶対的な強制力は存在しない。彼女自身が持つ魅力を確信させるだけの能力である。しかし少女の人徳・可憐さによって人々は自然と言うことを聞いてしまう。それゆえ、チャームにあらがうことができた人間はただ一人としていない。それはマルキオンも例外では無かった。
「ルナティック閣下。このマルキオン、貴方様にすべてを捧げます」額ずくマルキオン
「頭を挙げよ、其方は僕が愛する”領国民”の一員。その誇りを胸に刻め」と返す暗黒女王
「御意!!」と返すマルキオンの顔には曇りのない笑顔が浮かんでいた。

……
「ぬわぁ~よく寝た…ってもうこんな時間!?」
配信に遅刻しそうになり、慌てる少女。彼女の名は領国つかさ。すぺしゃりて所属のVTuberだ。
何やら自分が偉業を達成した「夢」を見ていた気がするが、そんなことはどうでもいい。今日も配信をしなければ…と少女は切り替える。
「額ずけ諸君!最強天才中学生、領国つかさだ!」