あ | 少女-ロリヰタ-23区 ユ≠キオフィシャルブログ Story of lie Powered by Ameba

子供の頃って親の言うこと何でも鵜呑みにしてしまうよね
当時はまだまだ子供でアニメとか戦隊物ばかり見ていて そんな2次元を現実の物だと思っていた時もあった

そんな幼少時期に俺が夜中までなかなか寝ない日が続いたある日
母親に「早く寝ないと真っ黒おじさんが大きい袋持って来てごみ置き場に捨てられちゃうよ」とかなり真剣な顔で宣告された事がある
たったその一言が物凄く怖くて 子供ながらかなりの衝撃を受けた思い出がある


親はきっとそうすれば早く寝るとでも思ったのだろう
しかし逆に寝てる間に連れ去られたらどうしようとか
子供なのに自分の身は自分で守れって言うのか的な 酷い孤独感に襲われていた


寝れない日は更に日を増す事になり
それでも親は何とかして寝かせようと次第に話が大きくなる
車の音がすれば「ほら 来た」とか言い 何としてでも布団に入らせようとする


俺は滑り込むように布団に入ったものの いつもテレビで見ているアニメや戦隊物のヒーローのように勇敢でも勇ましくもない無様な自分が嫌で
「勇気は皆の心にあるんだよ」ってアンパンマンが教えてくれた言葉を何度も何度も繰り返し眠りにつく



そんな次の日 アンパンマンのいい言葉をどこで履き違えたか
俺の頭のなかの言葉は「殺られる前に殺れ」に変わっていた



まず体力にはかなり自信があった
過去に幼稚園の先生をスペシウム光線で沈め ギャフンと言わせた事があったし
本気を出せば真っ黒おじさんでも何とかなると思ったから


こんな時 大人の優しさは無謀な子供を生む結果になる


しかし相手は真っ黒おじさんと言う見たことも聞いたこともない恐ろしい人物

まずは近所の知ってる限りのごみ置き場の貼り紙やネットを自宅の玄関に集め
万が一負けて捨てられてしまってもすぐに帰れるようにと 自宅玄関をごみ置き場に見せかけた


そんな作業をしつつもその真っ黒おじさんの正体を突き止めようと考えていたのだが
"おじさん"て言葉がどうしても引っ掛かっていた

何故なら友達のお父さんや知らない人の事は皆"おじちゃん"て言っているのに
よく顔を出す従兄弟に関しては皆口を揃えて"おじさん"と呼んでいたからだ

その事にハッと気づき 家にある写真アルバムをすぐさま引っ張りだし
従兄弟のおじさんが写っている写真を慌てて見つけ出し 愕然とした



どの写真を見ても笑顔で子供を抱き抱えている



普通に見たらただの平和な写真に過ぎないが 怖い 怪しいと思うとなんでもそう見えてしまうもので
その時の俺の目には 力持ちアピールをしながらこれから堂々と捨てに行きます的な挑発をしてるようにしか見えなかった

しかも野良仕事の為か 肌が焼け小麦色で色彩判断能力のない子供には確かに真っ黒に見えた


間違いない

そう確信すると 作戦を決行すべく次の行動に出る

大前提は戦う以前に家に入れなければいい
戦うばかりが正義じゃないってアンパンマンが教えてくれたし
まずは家を守るべく外敵が侵入できない状況を考えた


こんなに正義正義言ってアンパンマン押しなはずなのに 何故かどうしても頭の中はバイキンマンの事で頭が一杯で
バイキンマン城のような恐ろしいカラクリ屋敷を作りたくて仕方なかった

この時からすでに正義とは程遠い人間だったんだなあと今だに思い知らされる


カラクリ屋敷と言ったらやっぱり落とし穴
子供用スコップで廊下に穴空けを頑張ったんだが 子供ながらに卑劣なのが一階ではなく二階を選んだこと

完全に仕留める気満々だ



そして敵をビビらせる為に家の外観をトゲトゲにしたくて なん本もなん本も釘を壁から外に向けて打ち付けたのに 全然外に届いてなかったりと失敗もあったが

ドアを開けたら物が落ちるようにしたり画ビョウを撒き散らしたりと立派なバイキンマンリスペクト城が出来上がった


あとは待つだけだと いつの間にか真っ黒おじさんが来るのが楽しみになっていた俺は 親が先に帰って来ると言う当たり前な事実など忘れ

この後真っ黒おじさんよりも怖い物が親だと言う事をこれでもかと言うほど思い知らされることになる


こんな事があってからか
親も考えを改めたのか それ以来真っ黒おじさんのような空想の人物が現れる事は一切無くなったのだが
それと同時に絶対的支持者である架空の人物 サンタクロースまでもがうちに来ることはなかった