アイミーブの電池は結構よくできた代物で。
分解してみるとわかるんだけど、お金かかってんな~と思うんだ。
特に電池関連では官民一体となって制作にあたったみたいで、いろいろな大学等の資料が出てくるので、興味ある方はググってみてくださいな。
そんなバッテリー、実は空冷です。
なんかメーカー曰くエアコンらしいが、そもそもエアコンの風が巡回するだけのスペースないだろ。
バッテリー、きっちきちやん。これで冷えるのかな?
ちなみにスマートEVは水冷です。
このホースにLLCが巡回して、温度を絶えず25±10で保ってるそうです。
いやあ、しかし空冷って、急速充電かけたらそりゃ熱だれしますがな。
しかもアイミーブ、一般的にリチウム電池は45℃以上で急速に劣化するのですが、そのためコントロールのための温度センサーを各セルユニットごとに持っています。
ただこのセンサーの位置が悪い、そしてさらになぜか1ユニットあたり8セルあるのに、温度センサー6個しかない・・・
意味不明な。なんでだろうか?7個ならまだわかるんだけど、6個ってどういう組み合わせなんだろう・・・
電動ファンも排出用か小さいシロッコファン1個。
エアコン空調で空冷方式なので、どうしても排出用の近くのバッテリーがオーバーヒート気味になるわけで。
これがまず大問題だと思うんだけどなあ。
ちなみにこのファンも何回か仕様変更あるみたいで。
こんなわけなので、炎天下での急速充電、特に路面温度が高い場合の野外での急速充電はバッテリー痛めますので、あくまで50%ほどでやめておきましょうね。
バッテリー充電というのは化け学の世界で、充電止めても急に発熱が収まるわけでなく、約1時間ほど反応がとまらないため、発熱し続けるんですよ。
特に古くなったアイミーブは内部抵抗が増大していますので、一気に電圧をかけると、それが抵抗に食われ発熱し余計電気を蓄えなくなる(電流が流れにくくなる)ため、よくないんですよね。
そもそも急速充電は非常用として考えられてつくられたのがアイミーブなので、うちでは急速充電をしないと乗れないお客様に売ることはお断りさせていただいているぐらいなんですよ。(たまに選ぶな!って怒られますが、だってそのあと、バッテリー壊れとるだろうが!という間違った認識のクレームのほうが怖いしねえ)
これはMグレードでも同じです。
たまにMなんかで急速充電のほうがいいとかいう方いらっしゃるかと思いますが、どこネタなんだろう、あれ。そもそも根拠がよくわからん。
100歩譲って、本当にそっちがいいのであれば三菱は製造時より間違いなく普通充電口を標準装備でとりつけないよね?
だって、あれ廉価盤という唄い文句でコストカットして出してるんですから。
充電器ってお高いし給電口を急速用1個にすればかなり原価かなりお安くなるしね。
そういう意味でも合理性がないネタなんだよなあ、なんか説明できる方いらっしゃったら教えてくだせえ。
それはさておき、EV電池の考え方としては、容量の大きな電池を大きなたらい、小さい容量の電池を小さいたらいと思うとわかりやすいかも。
どっちにも今、水、つまり電気を入力しようとすると、普通の蛇口では水の増水の勢いがあまりないので、どっちもこぼれません(普通充電の場合)が、ここに消火栓のような大きな蛇口があった場合(急速充電の場合)、小さいたらいでは、水の勢いでこぼれる水が多くなり中々満充電しませんよね。
このこぼれた量が内部抵抗による発熱の量と思ってください。
つまり、いつまでたっても発熱量は増大しますが、肝心の水は勢いでこぼれるばかりでたまらない、こんな感じです。
ちなみにバッテリーが劣化すると、このたらいが小さくなります。
このことから急速充電に向いているのは容量の大きい方が同じ電流を投入しても発熱しずらく、溜まりやすいことがわかると思います。
逆に小さいバッテリーで急速を繰り返すと、絶えず限界温度を超える可能性が高くなり、劣化が進みがちになります。
いずれにせよ急速充電は充電方法の1つであって日常的な使い方を想定されていないものと思ってください。
ってか余談ですが、スマートEVは優秀ですよ。急速充電できないので、バッテリーのへたりが少ないのが特徴です。
いまでも160キロとか普通に走ります。
反対に問題点は、バッテリ―を限界放電させると、再充電できなくなります。
BMSがロックされてしまうんですよね。
ほとんどこれで車しょうがなく買い替えてる人多いんじゃないかな?
同じような現象で、BMWのi3や、BMWのHVがあります。全部このパターンでうちが買い取ってるケース多いです。
海外ではすでにその解決策が出ており、うちもそこに分からないことあれば聞いてるぐらい。
日本遅れてますよね・・・ほんとEVは。
脱線してしまいましたが、アイミーブ、実は内部バッテリーのセル(各電池の最小単位個体のこと)、今わかっているだけで大まかに分けて3種類あります。(今後増える予測あり、だって最近のバッテリーまだ見たことないしw)
2010年10月ごろまでの初期型の電池
それ以降の電池
グレードMの電池
あくまで大きく分けでです。細かいこというと確認できただけで5種類ありそう。
初期型の電池は開けてみると、青いです。
それ以降の電池は黄色いです。
Mは噂のリチウムエナジーvs東芝バッテリーの比較テストを兼ねて今度お話ししますので、今回は除外致します。
いずにせよ、バッテリーがまず変わってます。これはたぶん予測ですが発熱等に問題があるバッテリーかもしれません。
実際、2010年式がよく壊れます。故障状況聞くと、ほとんど急速充電でとどめ刺されてるみたいですが。
BMSの基盤、特にチップセットが変わってます。
BMSのチップセットは実は開発品ではなく、形状見る限りすでにメーカーからJIS規格で出されているものだと思われます。そのうえで、初期のものと中期、後期?のものを比較するとサイズや温度センサーのチップが変わっています。
※ 矢印がBMSのチップだと思います。該当しそうなメーカーはあったので、十中八九これじゃないかなと。
ということで、”本当にそうなん?どうせ納品先変わっただけでプログラム変わってないやろ、これ!”と思ったおやじは、実際に同じグレードで後期のバッテリーセルユニットごと、前期に積んでみましたが、やはり案の定、エラーでましたね。労力の無駄使いでした。従業員に怒られました。
これ、どこで変わってるんだろうか?いまだ不思議なんですよね。明確に車体番号でわかるんだろうけど、バッテリー内部のことなので、秘匿してるのかなあ?ブラックボックス化されて情報がない状態でおります、はい。
明確には2011年式以降であれば中期以降かと。
とにかく、Sender Unit及び、BMS(BCM:Battery Control Moduleといった方がいいと思うんだけどなあ、だってマネージしていないもん)は年式で変わっていますので、セルユニット単位では年式等の違いがあるものと交換することができないのですが、ここで疑問。
バッテリーはなぜ、色が変わっているのか?
いろいろ調べました。
ほんと調べました。
まじで調べました。
普通に出てこない情報なので。
人脈使ったり、開発担当した研究大学機関に聞きに行ったり、はたまた実際のセルを分解して解析してみたりとか。
最終的にリチウムエナジージャパンに直接聞いたり(答え帰ってこなかったどころか、折り返しもなかったけどな!)
で、なんとか解かりました。
結論。
素材変わってます。
中身変わってます。
色変わってます。
見た目全く変わってません。
性能格段に良くなってます!
比較資料もあるのですが、さすがにダメ出しされたので今回はすいません。
しかも最悪なことに細かくちょくちょく中身変わってるっぽい。
ここで、疑問。
バッテリーが変わってるということは、セル自体を交換すると、前期モデルに積むことができるか?
答え、Yes。
できました。全く問題ないです。実はすでに終わってお客にモニタがてら乗ってもらってます。
すでに1年がたとうとしてますが問題ないですね~。(お客をモルモットとして使うのはどうよ?)
しかも同じ年式のセルなら、Mに使っている東芝製と実は性能的には遜色ありません。
これはまた今度Mのセルと実際比較してありますのでデータまとめて別の日に伝えますね。
いずれにせよ面倒ですが、BMSの基盤を元のものに組み替えれば後期のバッテリーを前期の車輌にも積むことが可能です。
で、これが意味するところは、
アイミーブはバッテリーの容量や、性能の高いものに置き換えれる自由度の高い設計である
ということです。
優秀やんか!!
別に既存のメーカーが新品セル出してくれないんだったら、台湾製なりサードパーティのバッテリーメーカーに頼んで、それこそテスラのバッテリセルつかえばええやん?と、仲間が進言。
なんかテスラのセルって実際90円ほどらしいね、最低単位単価だと。
なら電圧併せればもっと大容量つくんじゃね?という話から、今まじめに検討しているところです。
ま、実際セグメント表示の問題あるんですけどね。そこは丸投げしてますが。
とにかく、既存のケースとBMSを使えば、極めて安価にバッテリーの中身の入れ替えができる代物。
アイミーブって結構すごくないです?