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むむむのBLOG

新しいものをすぐ分解したがるヘンテコな板金屋のBLOG。ここ数年は電気自動車に興味がうつり分解しまくっている困ったおやじの日常系BLOG。

お久しぶりです。

最近i-Mievのバッテリーの故障が増えてきてまして、その問い合わせが結構きており、その中でも整備屋さんからも修理方法の問い合わせが数多く来ております。なのでめんどくさいのでここにやり方をざっくり書いておきます。

できるだけわかりやすく書いたつもりですが、分かりにくかったらご愛敬ということでお願いします。

 

さて実はアイミーブ、バッテリー自体の故障はかなり少なく、BMSに温度や電圧、そしてバランスを行う基盤のセンサー類や半だが寿命を迎え、壊れるだけなんですよね。そのほかはヒーターユニットとDCDCコンバータのコンデンサー故障以外は目立った故障がない車なんですよね~。

ちなみに私的な数値ですが、10年たったアイミーブの故障の割合からほぼ8割がバッテリー故障かなあ。

特に海外のOEMでプジョーで売られており、海外じゃ実は普通にバッテリーなおしているのが現状。

チェックしてみたら、気づかなかったんだけど日本で修理方法公表しているところ、なかったんだね。

かといって別段秘密事項でもなんでもないのでご安心を。

ちなみに下手すれば車ちょっとかじってる素人さんでも修理できます。

大した技術いりません。

 

ってなわけで、まず用意するものは、もちろん電気工事用手袋、そして電気工事用の工具。

次に正常に動いている基盤。そしてまあ、可能であればセルユニットごとがいい。

まあ、Yahooなんかでたまに売っていると思います。なければリチウム電池は処理が問題となっているので、解体屋さんに言えばただでくれる場合もあるらしいです。

ただ基盤に年式で種類があるので、ちょっとばかり気を付けてください。基盤番号からの情報ですが、細かいことを言うと、5種類ほどあるそうです。ただし、バッテリー壊れる車両はまあ、大体1期2期モデルではないかな。

ですので、基盤を治す、つまりコンデンサーやサーミスタなどを半だで交換することができる技術を持っている方以外は、基盤を直接修理せず、中古の基盤を用意することになるのですが、ばらしたバッテリーの色や基盤の番号からできるだけ同じものを用意してください。

それと診断機、いわゆるダイアグ。これはちょっと、ちゃんとしたやつでないと基盤のIDの書き換えやセルの電圧・温度をみないといけないので、もしかしたらここは持ってる整備屋さんの力を借りたほうがいいかもです。
そして直流安定化電源、こちらは最大4.2Vを充電できる容量のものでいいので、ラジコン用のものでもかまいません。

アマゾンなんかで35V用が5000円前後で売ってます。もし可能なれば放電機(電子負荷装置)もあればなおいいです。こちらもアマゾンで5千円前後で売ってます。この2つはバッテリー単体の電圧調整に使います。

 

では、作業の流れの説明をさせていただきます。

まず大まかな流れとしては、

 

1. 診断機で何番のSellUnitが故障しているのかを見る。(Identfy)

2. バッテリーをおろし、分解して、悪いSellUnitの基盤を交換(Repair)

3. バッテリー自体のバランスをとる。(Rebalance)

4. 組み立て(Assemble)

5. 診断機でセルのIDの再割り当てを行う(Reprograming)

 

こんな感じになります。

 

次に各項目の工程と注意事項をお知らせいたします。

 

Sec.1 Identfy

まずバッテリーを下す前にどのSellUnitが故障しているのかを診断機で必ず見ましょう。

この場合、診断機で故障SellUnit番号が出る場合と、そうでない場合とがあります。

もしSell番号が出ない場合、ライブデータで見てみると、各セル(電池個体)の電圧が2.51V、そしてさらにSellの温度が57°Cになっているものがある場合、そのSellUnitの基盤が故障しています。

まれにセル(電池個体)単体で故障している場合もあるので、必ずエラーだけではなくライブデータで再度確認するようにしましょう。

 

Sec.2 Repair

アイミーブのバッテリーは、バッテリーの配置から通常運転席後ろの角から時計回りに各SellUnitが1から12までのセル番号が振られております。

 

 

各SellUnitを外すときには、まず必ず12番と11番をつないでいるコネクトラインを切り離しましょう。

これは通常460Vが致死Voltageと言われていますが、実際直流電流なので、正直電位差が高ければ高いほど電気が体に流れる率が高くなります。無論作業においては必ず電気工事用の手袋をつけて作業してください。そのうえで切り離せば電圧が低くなりますので、より安全になります。可能な限り各SellUnitのコネクトラインを切り離し安全マージンを取るようにしてください。

次によく悪いSellUnitの基盤を交換する前に必ず各バッテリーのセルの電圧を見るようにします。

まれにですが、基盤が壊れ電圧がほかのより以上に高かったり逆に低いものの状態のものがあります。こちらはもしそれがあれば放電装置(電子負荷装置)もしくは安定化電源で放充電して電圧を整えるのですが、その際必ずプラス側に逆流防止用のダイオードを挟んで接続するようにしてください。

 

 

 

 

そして放充電作業前に、1つ確認しなければならないことがあります。必ず電池の内部抵抗値をほかのものと比べてください。

実は意外と内部抵抗値を確認しない方がよくいらっしゃいます。特に中古でごっそり交換する場合(これをやる方が多い)、必ずこちらをまず確認しないと後でとんでもないことになります。この電池の内部抵抗値というのは、いわゆる劣化度合を示すかなり正確な目安にもなります。

正直走行可能距離を電池の劣化度にしたり、メーカーのわけのわからない充電総量からくる割合を電池の劣化目安にしている方が多くみられるのですが、正直あまり意味がありません。

まず走行可能距離は前にも書いた通りリセットできます。しかもあれは走行環境・温度・過去のデータから変化します。乗っている方はもうご存じですよね。

そしてメーカーのいう容量数値割合。これがちょっと食わせ物。これ、実は単に入力アンペアと逐次電圧の積算和です。ここには内部抵抗での発熱のロスが正確に含まれないのが問題です。しかもこれ、劣化ではなく、単に満充電までにどれだけの電気量(Whj)を充電器が使ったか?だけなのですけどね。

さらに問題は、これのパーセント。これね、実はからくりがある。健全なバッテリーを100%としてなにが不健全になって0%になるのかが、かなり複雑にプログラムで分岐していて、正直わけわからん。

具体的にハッキングしてみるとわかるのだけど、かなり怪しい数値。まあ見つけたした数式に関しては知的所有権から公表していいものかどうかわからないので、ここでは公表しませんが、もし興味ある方は海外で結構やってる方いるので、そっち見てみてください。研究しているグループいるので。

ちなみにこのハッキングやデバック技術はのちにSmartやベンツのバッテリーを治すときに必ず必要な技術になるので、もし見ている方で興味あればぜひ海外のサイトを積極的にみるといいかも。

脱線したけどつまりね、これメーカーのバッテリー保障プログラムがかかわってくるため、純粋にユーザさんが考えているバッテリーの劣化を示す値ではないわけして。しかも私思うのですけどね、よくバッテリーの状態、つまり劣化はどのくらいですか??と、聞かれるのだけど、バッテリーの劣化って、そもそもリチウムバッテリーのような組み電池の場合、

  1. 個体の最小単位での劣化の最大値
  2. 全体数の平均値の減少
  3. 使用帯域の減少

このどれがそれに該当するのでしょうかね??聞いてくる方教えてください。

無論当社では明確に答えられない以上、”無理、答えれません”と回答しているのですけどね。

 

まあいずれにせよ、そもそも通常電池問題は電池そのものが劣化すると電池の蓄電量が減ることが大問題と思っておられる方が多いのですが、全体が劣化しても使用帯域の減少はさほど大きなものにならないので、実はそれほど問題ではありません。そうではなく実は電池劣化による負荷時無負荷時の電圧の電位差幅の増加のほうが電気自動車の実質的な問題になります。

これは例えば健全な電池の中に1つだけ不健全な電池が混じっていた場合、通常無負荷時においては電位差が無いのに、負荷をかけた場合、健全な電池より不健全な電池の電位差が大きくなり、各電池の最大値と最小値が規定よりも大きくなってしまい、一時的に故障状態になってしまったり、電欠状態になってしまうことがあります。

 

 

しかも質の悪いことにリチウム電池の使用帯域の特性上、使用帯域の最小帯域に起きやすいのも特徴で、つまり治しても普通に使う場合通常帯域は問題ないのだが、なぜかEmpty近くになるとよく故障マークが出てスローダウンする、止まってしまう、ということが起きやすくなります。

このようなことを避けるため、通常より電位が下がっているセルは必ずほかのセルとの内部抵抗値を比べるようにしてください。

勿論もし著しく高い場合、なるべく同じ中古もしくは、低めのものに交換するようにしてください。

ちなみにですが、内部抵抗値は計算ででるのですが、ここでは割愛して、お金に余裕がある方はAmazonなどで結構いい内部抵抗値計測計がでていますので、そちらを利用してみてください。

 

Sec.3 Rebalance

こちらはもし可能ならば全部のセルのバランスをとるのをお勧めいたします。

アイミーブのバッテリーとBMS(バッテリーマネージメントシステム)はかなり優秀ですので、正直バランスを全部取り直す必要はないのですが、それでもとれるのであれば取っておくと、実質使用帯域が若干ですが増加します。

逆に各セルの最大最小値の電位差が0.2V以上出た場合エラーとなります。

バランスを当社みたいに機械(Battey Equalizer)でとる方法もあるのですが、こちらの機械は高額ものもが多いですし、いろいろ使い方なども難しいものもあるので、いくつか当社が使っているものを紹介だけさせていただきますが、使い方などは割愛させていただきます。

 

 

   

 

 

 

 

なお欲しい方はアマゾンやAliExpressなどで売っておりますので、そちらでお買い求めください。

お勧めは値段・性能から無難にSUNKCOのD1524+でしょうか?私的にはHeltecBMS社のモデルが性能が抜群にいいと思ってますが、なんせ値段が17万前後します。

ああ、ここからは愚痴になりますが国産はだめですというか、まったく話になりません。やる気ないのか、なんせまだ1台もでておりません。菊水電子などに直接話かけたのですが、やはり結局はぐらかされましたね。

マネタイズが難しいというのはわかるのですが、この分野においては間違いなく中国・韓国に負けております。

たとえ出してもすでに時遅し値段で勝てないでしょうね。

今電気自動車はネガティブキャンペーンで日本は埋め尽くされていますが、海外行くとわかりますが、全く事情は日本で思っている以上に違います。今まで確かに多少急ぎすぎた感はありますが、でも確実にいい意味で進んでいます。”エコ”というスローガンではなく車両を選ぶ選択肢の1つとして確実にその地位を確保してきています。なので、こういった修理機械は修理屋には将来必須になるので、当社も趣味というか積極的に海外の会社とアポをとって実費で仕入れ検証しているところです。ま、結局のところ趣味なんですけどね・・・

 

それでも安くとりたい!という方(主に個人の方)は、正直危ないのでお勧めできませんが、全部のセル(88個)を並列化してしばらくおいておくという手もあります、が、各セルの電位差がありすぎる場合、大きな電流が一気に流れますので、電流制御回路を組める方以外はお勧めできません。

 

Sec.4 Assemble

バッテリーの組上げですが、こちらは三菱のマニュアルやYoutubeなどで確認したうえで感電しないように防護しながら行ってください。実はこの時が一番危険です。結構電気事故は組んでいるときのほうが感電しやすい場合が多いのも電気自動車感電事故の特徴です。組上げの際絶縁工具を使わなかった方がよく感電して痛い目にあっています。

電気は目に見えないということを絶えず意識しましょう!

ちなみに電気工具を使うようにしてください。エアーツールは絶縁どころか、電気を通しやすい構造になっていますので、必ず電気工具のできれば充電式のものをお使いください。

 

Sec.5 Programing

基盤が中古しか供給されないので、もし中古を使う場合前のIDが割り当てられております。大概の診断機にはアイミーブのBMS基盤のIDの再振り分けコマンドがあると思いますので、そちらで再振り分け後、エラーを全部消去して車を再起動してください。

その際、たまにですが前のエラーが消えない場合があります。ゴーストと呼ばれる現象です。これは汎用の診断機でよく起こるのですが、その際バッテリーを一度プラスマイナスを抜いて、5分後にまた全部入れてからエラーを消してみてください。

 

以上で終了ですが、慣れるとおよそ3時間ほどで修理できます。

参考価格は大体工賃は5万程度、部品代は3万前後あたりが妥当なのかな?

まあ、アイミーブ、ミニキャブミーブは特に楽な分類なので、大した設備なくてもできます。

正直ベンツ・SmartやBmw、テスラなどに比べるとかなり楽です。

普通の整備工場でも簡単な設備投資でできるので、修理の入門にはめっちゃ、お勧めですのでぜひどうぞ。

 

言い忘れましたが、今日説明したことはあくまで”自己責任”で作業お願いします。

正式な修理方法どころか自動車メーカーは開けるな危険!(でもなぜか開けれる)と言っております。

ちなみに免許は一切いらないのでご心配なさらずに。現時点で直流電源の500V以下で蓄電池に限っては整備においての法的責務も免許制度もございません(電気保安協会及び整備士振興会曰く)。あ、モーターなどは動力回路になるので、まずいですよ。

 

 

次回あたりミニキャブミーブの修理を今しているので、そちらで実際の画像で解説を交えおさらいをしてみたいと思っております。

またSmart系(ベンツ等)のバッテリーの過放電バッテリーの修理方法もBMSのハッキングなども可能であれば併せて説明したいと思っております。