i-Mievの不思議な航続可能距離表示 | むむむのBLOG

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新しいものをすぐ分解したがるヘンテコな板金屋のBLOG。ここ数年は電気自動車に興味がうつり分解しまくっている困ったおやじの日常系BLOG。

最近アイミーブでの航続距離関連の質問が多いのですが、使ってるGooやCSのサイトだと文字数に限りがあるので、BLOGにて情報を発信しようかと。

 

で、アイミーブ。

航続可能距離の質問は当社ではまったくお答えしていないのが現状。

理由はね、簡単。

だってあれ、はったり表示だから。

 

しかも学習機能リセットすると航続距離、伸びるから。

ひどいことに今まで5-60キロだったのが、いきなり150キロとかになる。

 

ってなわけで、反論もあるでしょうから、どんな感じなのか実際やってみます。

 

まず代車のアイミーブを使ってやってみます。

このアイミーブ、走行4万キロ台、年式2010年初期モデル。リセット前の走行可能推定距離はこんな感じ。

まあ、これが普通だろうね。

 

 

ちなみに満充電ではないのは後やるSmoothingの作業上満充電だとできないからですので。

こいつを、既製品のダイログ(OBDCテスター)で設定をすべてリセットして、同時にバッテリーをECUでのSmoothing(いわゆる平準化というやつです)をします。(機械的にやる方が望ましいけど、今回はリセット目的なのでECUのファンクション上で実行します)

 

 

 

そうすると、いったん走行可能距離と、セグメント(燃料計みたいなやつ)が減る。そのままにして満充電充電します。

数時間後、満充電終わった後航続可能距離を見てみると、あら不思議!

 

 

なんと、航続可能距離が伸びた!160キロ!?しかもいままでの倍以上!

もちろん伸びたわけではございません。

航続可能距離表示≠実際の航続可能距離ですので、お気を付けを。

 

リセットするだけで伸びるの?!

 

いえ違います。

 

実はもう一つからくりがあります。

リセットの前に学習機能をすべて消去しています。

そのうえで、学習機能の手書き設定で新品のバッテリーと思わせます。(設定は内緒、というかめっちゃ簡単なんだけどね)

 

 

これだけで、ECUはこのバッテリーが勝手に新品と誤認するため、新車時のデータを引っ張り出してそのうえで矛盾したデータである現状況の走行蓄積データをもとに、現在走れるであろう距離を算出しているみたいです。

みたいというのは、今仲間が、BMSとECUのプログラムを解析しているので、もう少し後にはいろいろもっとわかることをお知らせできると思います。(どうも欠陥あると思われ)

とにかくこういうからくりがあるので、そりゃ”満充電で航続可能距離、いくつですか?”なんて整備会社のうちとしては質問は一切答えられやしない。

全くどの数値が正しいのさえかわからない。

 

でもこのことは、アイミーブの中古車いじってる人、結構知ってる人多いからね。

実際たまに業者AAでよく見る、走行可能距離がおかしいやつ。

 

ほんと中古車業界の闇です。

 

こういうのってメーター戻しと変わらないと思うんだけど、いまだ法整備がないのが現状ですいません。

いずれにせよ、三菱、ロックぐらいかけろよ。

 

まあ、こういうと絶対に同業者から文句来るんだけど、こういうことを”やる”・”やらない”が問題ではなく、”やれる”のを告知しない、知らなかった、で済ますが問題なわけで。

 

つまり、買うことを検討している方はそれを信じでバッテリーの劣化度みてるんだろうけど、こんなんだから正直全く意味がないデータであることをどこにも唄って販売していないのが問題だと思うんだがねえ。

 

いずれにせよ、10年以上たったバッテリーは大体ECUが表示する劣化度(ディーラーのテスターなどで見てもらったときに出る数字)は65%~85%なのかな?そんなもんでしょ。

しかし、このデータが最悪であくまで推定劣化度なんだよね。推定なら推定と表示しろよ!三菱さん(怒

あれは実は新品のバッテリーを使った放充電試験データをもとに、電気の入出力の総量と回数から劣化度合を車のECUが計算で割り出しているだけ。

それも元のデータがあくまで新品をきわめて短時間、放充電したデータのため、10年とかたった自然放電による劣化・充電温度による劣化、を環境劣化なども一切想定していないデータなのが現状。

ご丁寧に何を考えてか手動設定画面まで作った為、先に行ったようにバッテリー新品偽装ができるわけで。

悪用されることを考えなかったのかねえ。

まあ、でも最初のEVだからね仕方がないわなあ。

実際よくここまで作ったと褒めるべきなんだけどね。

 

もしそれでも測りたいと思うのであれば、

 

1.分解して内部抵抗値をセルそれぞれで測定して計算式で最低劣化度合を割り出す。

2.放充電検査装置でセルユニットごとそれぞれ測定してみる

 

今のところ、思いつくのはこの2つしかない。

 

・・・・まあ、現実的ではないよな。

 

放充電検査装置なんて600万以上するしね。

ちなみにレンタルで1月30万ほどだった、たっけ。

アイミーブいじってるとこで、これ持ってる会社みたことないわ。

これでどうやって正確に劣化度測れるんだろうか、不思議なんだが。

 

ちなみにうちでも持っていません、勿論。

ただすべてトラブル持ってたバッテリーを直しているため、その際セルの電圧合わせるため、内部抵抗値を個別に図っています。その際、データが悪いのは新品ではなく良質の中古にかえてます(場合によっては限界放電してすべてのバッテリーセルをリセットするときもあります)。

だって新品ないもん、新品供給してほちい、三菱さん(いや、この場合ユアサというべきか・・・)

 

いずれにせよセル供給では新品供給はないですので(一説によれば、エナジージャパンが研究目的でなら提供可能だそうです。ソほんとかな?)。

ああ、そうそう、よくMのバッテリーが長持ちするとかうんちく・・・という話ききますが、全否定はしませんが、間違ってます。

30%はあってる、でも70%ほど間違ってる、こんな感じ、我々の認識では。

本当にちょっと比較対象が間違ってる?と思うんですけど、この辺のバッテリーの個別の性能のお話しは検証もかねて次回あたりにしますね、かなり長くなるので。

 

いずれにせよECUから引っ張り出すデータを閲覧するしか、今のところ見えるようなデータはないが、あくまであれも5-6年以内の車なら信頼度が高いけど、それ以上たった車はほとんどあてずっぽ。

まあ目安として新品の半分以下のバッテリー性能だと思ったほうがいいです。

そりゃ10年たったPCや携帯のバッテリーで劣化度60-85%って普通考えたらおかしいでしょ?

おかしいことが平然と”うちの車は劣化度XXXです”と、さも正しく見えるデータでセールスで語る方が今だいらっしゃるから、困ったもんだ。

実際考えてみて、携帯電話やノートパソコン売ってる会社でそんなセールスは、みたことない。

あ、なんか機械つけると今のバッテリーの劣化度見れるとかあるけど、あれもあくまでECUからデータひろってるだけなので、意味ないからね、勿論偽装可能です。

そもそも電池の正確な残量や劣化度って測定方法がまだ確立されておらず、各会社でその方法を模索・開発・秘匿しているぐらいなんで。

 

そんなわけで、うちは”普通充電なら60-80キロは走るけど(場合によっては100超えるけど)、あくまでヒーター・エアコン・ヘッドライト・ワイパーなしでね”というのが、もう口癖になってます。

 

まあ、10年以上たった電気自動車がまだ普通に走っていて、しかも充電したら60キロ前後は確実に走るんだから30前後で買うのが安いか高いかだけだと思うんだけど。

そんなわけだからユーザさんも何を期待するのか、電池寿命とされている10年たった車に多くを求めないのがいいと思うんだよね。

私的には30万前後でこの装備の電気自動車と思えばありなんだけどね。皆さんはどうおもいます?