こんにちは☺️

 

岡本さんのリサイタルシリーズ vol.3「円熟の時」。

同じプログラムを、JNOのリサイタルシリーズ として奈良でも開催していただけました。

昨年は先生とのデュオリサイタルに変更されたので、私が初めて岡本さんの生音をお聴きしたvol.2以来2年ぶりのリサイタルです。

推し様の要の公演のひとつだと思っているので、とても楽しみに行ってまいりました。

 

仕事を4時で早退し、新幹線に飛び乗って開演30分前に到着。

2年前は1日休みをとってゆっくり出かけたのに、今年はエライバタバタしてますな、私。

 

急に冬空のような天候でもの寂しく、不安と緊張が混ざったような気持ちでいました。(帰りの乗り換えの心配のせいもある・・・)

不穏な気分も、プログラムの内容に同調してるかのようで悪くないなと思いつつ、開演を待ちました。

 

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プログラムは重量級の曲目が並びます。

重くて長くて内容の密度の高い、純文学をいくつも読ませていただくよう。

ブラームスとシューマンが円熟の時に書かれたという 充実の作品たち。

 

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ラジオやTV放送でお聴きしたことのある曲もちらほら。

生音で聴くと、また共演者が変わるとどう違うのか。

「音楽はなまもの」と岡本さんがおっしゃったのが理解できたように思いましたよ。

 

私の席は前から4列目。

4列目から段差がついているので、舞台が見やすく良いお席でした。

最前列はとれなかったけど、いいの!

 

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ブラームスピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番

 

昨年のドイツのラジオ放送「A-durのブラームス」で岡本さんの演奏をお聴きしました。

最初の一音から、そよ風のような肌触りで録音の音とは質感が違う・・・!

少し儚げながらも、優しく愛情深い音楽を紡いでいかれます。。

小春日和のひだまりで日向ぼっこをしているような暖かさに、しみ入る幸福感を噛み締めていました。

 

ピアニストの北村朋幹さんは、その小柄で華奢な見た目と裏腹にドラマチックな演奏をされるのですね。

時にはヴァイオリンよりもピアノが前に前に主張しているようにも聞こえたり、テンポがゆらぐ時もありましたが、それもお二人で打ち合わせ済みなのでしょうね。

視線を合わせることがなくでも、息ぴったりでした👏👏👏

 

 

ブラームスピアノとヴァイオリンのためのソナタ第3番

 

第2番とは打って変わって、北ドイツの厳しい自然を感じされるような荒涼とした1楽章。

2番で感じた金色のあたたかな日差しは隠れ、来る時に目にした寂しい空と冷たい風を感じました。

2楽章は「題名のない音楽会」でお聴きしましたね。

2楽章だけはじんわりと暖かみのある幸せ。こっくり濃ゆい橙色の音。

でも、それは過ぎ去った幸せを懐かしんでいるようにも思えます。

幸せなのか寂しいのかよくわからない気持ちが込み上げて、涙がにじみました・・・。

 

岡本さんの音だけでなく演奏中の所作も音楽の一部のように感じ、音楽が演奏者のお人柄そのもののように思えてしまいます。

(だからミュージシャンは魅力的に見えるのでしょうね💘)

 

4楽章は超熱演🔥🔥🔥

もとからピアノパートが充実しているブラームスの楽曲ですが、北村さんのそれはまるで協奏曲のソロかと思うほどの熱量。そして決して負けてない岡本さんのヴァイオリン。

ダン!と足を踏み締めて、一つ一つの音に命を注ぎ込むかのように激しい演奏に、聴く方も息をするのを忘れそうになるほど。

ピアノとの丁丁発止がスリリングでものすごく熱かった・・・!

長くて情報量の多い曲ですが、前のめりに夢中でお聴きしているうちにあっという間に終わって休憩時間です。

 

あーーっ、もう半分終わっちゃった・・・

終わって欲しくないのに、ずっとお聴きしていたいのにーーー😭

 

 

後半はシューマンのターン。

 

 

シューマン
5つの民謡風小品

 

もとはチェロのための作品。

ヴァイオリンのための編曲版が「作曲者本人によるもの」なのでプログラム入り。

ここはずっと岡本さんがこだわっておられるポイントなんですよ。

 

性格の異なる5つの曲が続きます。

特に民族色を強く感じた第1曲。

子守唄のような暖かさに包まれた優しい第2曲。

第3曲の情熱の間の、消え入りそうな弱音とフラジオが美しい中間部でまた涙がこぼれそうに。

音が鳴ってるのに静寂で、彼岸の美と光を見たような不思議な体験でした。

対照的に激しく暗い第6曲の間も、ずっと「ここではないどこか」の世界に憧れを抱くような気持ちを引きずっているほど、あの弱音の美しさに心を持っていかれてました・・・。

 

 

 

シューマン
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番

 

配信では、ミュンヘン国際コンクールの2次予選とバンベルクのコンサートを。

生演奏は、3月のたつの市で反田恭平さんとの共演でお聴きしました。

今日はどんな演奏に出会えるのでしょうか・・・!

 

3月の時とはまた違うテンポ重めの演奏ではじまり、暗雲たちこめたるこの曲の幕開けにふさわしい重量感。

ずっと、ドロドロした赤黒い空気感をまとった1楽章は、激しく慟哭してるかのよう。岡本さんの音から感じる圧とうごめくピアノから絶望と混沌を感じます。

2楽章になっても希望は見えなくて。

唯一救いのある3楽章が私はすごく好き。

壊れないように、大切に慈しむように紡がれる岡本さんの音が心にしみ入ります・・。

ブラームスの長調の緩徐楽章からは「愛情」を受け止めるのですが、シューマンのそれからは「彼岸への憧れ」を感じる私は、決してメンタルを病んでるわけでないけど曲に同調してしまいそうに。

そして終楽章はまたしてもピアノとやりとりが超熱かった・・・!

一瞬、え?走った??と勘違いするほどはやるピアノに聞こえる箇所がありましたが、振り返るまでもなく一体感を持って演奏される岡本さんの音を聞いて、あっこういう音楽だったんだと納得。

5年前にもこの曲を共演され、北村さんのシューマン観にいたく共感して今回も共演を申し込まれたという岡本さん。

すごくこの二人は相性がいいじゃない!って思いました。

 

 

アンコールはシューマンの「おとぎの絵本」から第4曲。

これも元はヴィオラのための曲ですが作曲者本人によるヴァイオリン編曲版があるということで、次回のvol.4「最後の言葉」でも演奏される曲ですね。

 

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(来年は2回もある❣️😍❤️ ぜっっっったいに行きます🔥🔥🔥)

 

 

ソナタ2番をお聴きして少々擦り傷を負ったかのように荒ぶる心を、この曲を聴いているうちに母の手で手当てを受けているような気持ちに。

あたたかく幸せな気持ちに満ちているうちにお帰りなさい、と言われているかのよう🥺🥺🥺

演奏後の数秒間の静寂も音楽の時間なのね。

客席のだれもが身動きひとつせず、一体感を持って音楽を共有できた幸せな時間でした。

 

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終演後は余韻にひたる間もなく、なんならカーテンコール中に席を立って駅へと走りました。

(あとで知ったのですが、サイン会もあったそう。うう、次回は時間を気にしなくていいように車で行くっ!)

 

最終の新幹線に乗るにはJR線では間に合わないので、タクシーに乗って近鉄奈良駅へ。

大和西大寺で特急に乗り換え、京都から新幹線。

これで早め(といっても11時半)に帰宅できると安堵してましたが、運転中の眠気に耐えかねてコンビニの駐車場で目をつぶると・・・

 

えっ! 12時!?

私はなんでここにいるの?と寝起きで一瞬混乱🤣

結局在来線での帰りと同じ時刻の帰宅となってしまいました。

 

定番の反芻タイムは翌日の仕事中に🤣

すごい体験をさせていただけました。

人生の希望と絶望と、愛情と悲哀と、いろいろなものを受け取った演奏会。

今も思い出してはぼーっと惚けて、家事の手がとまります😍

 

 

そしてこぼれ話と凹み話(!)は次の記事で♪