この「おらおらでひとりいぐとも」を読むと、「そんなことあるある!」の共感でなく、「そんなことあるの?」の違和感だらけです。意味不明の東北弁、馴染みのない北国の暮らし、主人公桃子の独り言か妄想か分からない回想場面など、正直言って読みにくい本です。

主人公桃子は徹底して自分と対峙しています。この現実離れした極限のシーンでないと語れないものがありそうです。

主人公桃子の人生は、世間一般の常識(固定概念)では不幸です。主人公は何故、不幸だと嘆き悲劇のヒロインを演じないのか、気になる一節があります。

「なんだって意味を持って感じられる。それにしても、亭主亡くなって以来、口をついて出るのはそのことばかり。おらの人生は言ってみれば失って得た人生なのだな、失わなければ、何一つ気付けなかった。周造(坂本註釈:桃子の亭主)との出会い、ありがたい。周造との別れ、ありがい。」

主人公桃子の強さの原点はこれかなと思いました。