2ヶ月前、園田泉美は恋人の河野淳一のバイクで桜を見に行った帰り、トンネルの出口で事故に遭い彼が命を落としてしまう。泉美はトンネルに入ってから病院のベッドで目覚めるまでの記憶がなく、相手のトラック運転手も即死したため事故の状況が分からない。退院後家族の支えを受けながら以前の生活を取り戻そうとする泉美だったが、日常のふとした瞬間に彼との日々が蘇り淋しさを募らせる。

 しばらく経ったある日、精神科医の診察を受けに行った泉美はそこで通院患者の弁護士・桐野真希子と知り合い、後日彼女が所属する法律事務所に訪れる。泉美は、「どうして彼だけが死に自分だけ生き残ったのか事故の真相が知りたい」と真希子に事故調査を依頼するが専門外と断られてしまう。泉美を帰す真希子だったが、過去に顔に一生傷をつけてしまった妹と泉美を重ね、後日考え直して調査に協力することを決める。

 泉美は奇跡的に生き残るが、最愛の恋人とともに事故の記憶をも失ってしまう。苦しみと戦いながらも「最後の真実」を求める泉美が目の当たりにしたのは、極限状態の中で淳一の本能的な愛が生んだ奇跡だった。