2017.07.18. 最低賃金の引き上げ。ビッグピクチャーを把握しよう。



by NOHKUN
Date : 2017.07.18.


ノクンです。
今日は少し硬い話題になると思うので、丁寧に語ります。

 去る15日、2018年度の韓国の最低賃金が時間当たり7,530ウォン(約750円)になり、前年6,470ウォン(約650円)から1,060ウォン引き上げです。
 まあ、単なる数字だと思うかもしれませんが、今まで2~8%くらいの引き上げだったことを考えたら、今回の16.4%の引き上げは破格的な引き上げたと言えるでしょう。


-. 最低賃金の引き上げを現した表

 製造業界で人事の仕事をしているので、今回の引き上げは会社の立場ではダメージ及びリスクになります。現在メディアやネットでも騒ぎになっているし、異見やあらゆる意見があると思いますが、収入と支出のことを考えると賃金は支出なので客観的な資料だけを見ると賃金の引き上げは支出が増加するダメージということには頷くと思います。

 会社からは持続可能な経営のためにこのダメージを最小限にしリスクをオポチュニティにするためにいろいろな工夫をしていると思います。私も同じくいろいろ考えながら、もしかしたら政府からは対策案がでるかどうかを調べたりしています。

 今回の引き上げに関して政府からは「職の安定資金の支援(案)」を発表しました。詳しい内容は調べてほしいですが、簡略に説明すると次のようです。

 小商工人と30人未満の零細企業には引き上げが負担になると思って、最近5年間の最低賃金の引き上げ率の平均の7.4%を上回る引き上げ分を政府が支援するということです。つまり、7.4%の479ウォン(約48円)はもともと企業の負担だったので、残りの581ウォン(約58円)は政府から支援するということです。なると一月の209時間を掛けたら(なぜ209Hかはここでは説明しません。)221,540ウォン(約22,160円)の増加の中で約12万ウォンくらいを政府が支援し、予想可能だった(?)リスクは企業が負担せよという美しい話です。

 無論、私が働いている会社は30人以上なので支援はなく、これから賃金1万ウォン(1千円)の時は持続経営が難しいのではないかという心配の声もあります。少し話すと、韓国社会の給料テーブルは面白い面があり、私の会社の場合はチーム長以下の職員はみんな最低賃金以下になります。まるで、ある大手企業の年棒6,300万ウォン(約630万円)の人が最低賃金以下になるように。多分転職前の会社では役員のほかはみんな最低賃金以下でしょう。もちろん50人以上の企業なので政府の支援対象にはなりません。

 ここで、政府の支援策や政策を見てみると、今回の引き上げはこれから最低1万ウォンにするための足がかりでもありますが、ほかの狙いがあると思います。

 先の支援案をやり直してみると、最低賃金の引き上げが負担になる企業には政府が支援するから、頑張りましょうと言っていますが、その対象が小商工人と30人未満の中小企業ということです。この範囲には今現在の最低賃金も貰えず働いている勤労者が多いところです。(パートや契約社員など)



-. 労働法の死角を表現したCM


 理解しやすく言って、アルバイトの場合最低賃金をもらってない人が多かったし、今回の大幅の引き上げで全然引き上げしないわけにもいかないでしょう。つまり、20~30%を上げても最低賃金には足りないし、政府の支援を貰えようとしたら引き上げは必要になる仕組みです。なら、今まで通り引き上げしない社長もいるのではという質問には…そうですね。でも7,530ウォンの状況で5,000ウォンとか5,500ウォンとか貰いながら働く人が多いでしょうかね。ギャップができるほど自然に離脱も生じると思います。

整理します。
1. 最低賃金1万ウォン(約1千円)までは計画通り行う。(2019年は8千ウォン後半, 2020年には1万ウォン予想。)
2. 今年の政府支援は死角の低賃金労働者をアップさせる方向に。
3. 企業は社内留保金などで何とかできるよね?
だと思います。


 無論私だけの考えなので間違ってるかもしれません。しかし、年収6千万ウォンを超える人も最低賃金の未満になることを見直す(これもこれなりに複雑な事情があり、企業も問題だと思いますが、大体の企業が似たような状況だというのが問題)ことには明確は答えを出していないことから、今回の最低賃金の引き上げはいろんな面で考える必要があると思います。