Editor : Ino
Date : 2016.07.17.

The Black Box Society
フランク パスクァレ(Frank Pasquale) 著 (韓国 : イ・シオン 訳 / アンティゴネ, 2016.06.23./  331.13 / ISBN 9791195824908 )


2016年7月12日、退勤後家に帰ってると書類封筒がひとつ届いていた。どしゃぶりで曇りの夏の日に配送されたせいか、本が湿っぽい。それでも好きなジャンルの本だから期待して読み始めた。


ページをめくると、学生時代に読んだ新しい漫画の本の匂いがする。

ニュースでビックデータと話すたびに、私はそれがいいことだと思った。数多い人々のデータが体系化され、その中で私の好みに合った情報が私に公開されそれが人生を潤沢にすることだと思った。パソコンで調べた商品が、ウェブのあっちこっちに浮かべていて買いたくなるし、私の行動がウェアラブル・デパイスやモバイルなどを通してテータされ保管されるし、私がほしい場所で情報を提供してくれる、まるでアイアンマンのジャービス(人工知能の執事)がよこにいるようなそんな世がいい世界だと思った。それを利用して私の言動・行動の全てが誰かに暴かれているとは思いもよらず…。

本を読んでいると映画などで見た、自分の個人情報を保つためにネットを使わず、保安装置を家の電話機につけて盗み聞きを防ぐなどなどがあるところでは一人個人ができる最善の方法かもしれないと思った。発達した時代のなかで金融を利用し、ネットを使って、しかも政府ですら私の個人情報を収集している状況でこんなものと関係を断つべきかもしれないということが、非常におかしい。


この掲示物を書いている2016年7月17日10時ちょっとすぎた今、日本のNTVというチャンネルで「そして、誰もいなくなった。」というドラマを放映している。今日からスタートしたドラマだ。ある日、会社から「お前は藤堂新一を名乗って潜り込んだ偽物ではないか?」とあらぬ疑いをかけられる。会社では、国民一人一人に割り振られた13桁の"パーソナル・ナンバー"の登録が義務付けられており、そのナンバーの持ち主が数日前婦女暴行事件で逮捕された同姓同名の男・藤堂新一という全く赤の他人のものだと告げられ、新一は身元不明の存在として自宅謹慎を命じられてしまう。自分を探しに出た新一は、自分がパーソナル・ナンバーを乗っ取られる「なりすまし」の被害にあっているのだと知る。ただいまスタートしたドラマなのでこれからだけど、今年、マイナンバー制度が実施され発生の可能性のある問題について描いたドラマだと思う。(もちろん違うかもしれない。)とりあえず、ネットにある個人情報が他人の手に入り犯罪などに利用されたら、ドラマのように一人の人生が無しになる可能性もあるだろう。その情報が私の便宜のためにネットにアップロードした情報だし、痛くて病気について検索した情報、ほしいものを探した情報などなど。

何年前アメリカのスノーデンの「政府機関が個人情報を勝手に収集していたことで騒ぎになった事件がある。最初は「まあ、もう個人情報はネットにあっちこっちにあり、国家は安保という名を正して知らず知らずに収集していることは皆知っていることだと思った。この本はそんなことについて厳しい警告とともにこれからの美しい未来のためにとるべきの方法について述べている。

本の内容は渋い。むしろ難しいほうかな。どうせ私が制御できない状況ならどうでもいいのではないか。しかし、私が散らしている情報がどんな形になって私に帰ってくるのかわからない状況で、今を生きている人々に一瞬の選択の重みについて考えてみる選択肢を与えてくれる。

これまでの現状を縮小してみると芸能人と追っかけファンの関係(?)と似ていると思う。芸能人は普段の生活を掲示板に書き込みしただけなのに、そんな情報が追っかけファンに収集され自分より自分に詳しい人がいるということは恐ろしいことではないか。

この本を一言に略すと次になると思う。以下の一言の意味を繰り返して考えて評を済ます。

pp.131 ある時は利用者のために使われたデータが次は彼らに損を与える目的でリサイクルされる危険があるのだ。