若いころこの季節になると


誰となく花見の話が出て来たものである。


よし、やろう、となり役目を決めて実行した。


ある年上野公園で10人のグループでやったときのこと。


4時ころ場所取りの役が茣蓙を


持って行ったが良い場所はすでにない。


端のほうのトイレに近い場所で手を打った。


7時前に全員集まり宴会開始、


するめ、せんべい、の乾きものしかなく


寂しく始まったが酔ってくると会話も弾んだ。


両となりの団体は準備もよく


御馳走も盛り沢山で女性も多かった。


我が蓙は男のみであった。


一人二人と隣の茣蓙敷に押しかけすっかり


うちとけていた、


酒の勢いと桜の天井のお陰で見知らぬ同士が仲良しに


なるのも早い。


いつの間にかこちらの座敷の御馳走が増えていた。


宴も終わり荷物を見たら酒が


半分も減ってないのには驚いたり笑ったり。


開放感のある場所だからこそ出来る人間の交流であり、


その良さは花見の場所以外では出来ない、


良い思い出である。