生まれて初めて誕生パーティーなるものをやってもらった。


70年の間、子供のころは食うのに精一杯の世の中で


お祝いどころの話ではなかった、


青年期はまだまだ生活に追われて働き蜂で


パーティーなどは念頭になかった。


熟年になると誕生日を忘れるくらいになって来て


祝いらしいこともしなかった。


このたび社員が内緒で仕組んでおいてくれて、


全く予期していなく、会場に案内されて、


はっと、気がついた。


元気な社員の顔がずらっとならんでいるのを


見たとき眼がしらが熱くなり


何とも言えない嬉しさが込み上げてきた。


他人が花束を貰う情景は何度も見ているが、


自分が貰うとなると、こんな厳かな気持ちになるのだ、


と深深と身にしみた。


社員の一人一人の気持ちにただただ感謝であった。


人間の心の温かさをこれ程感じた瞬間は


人生で初めてではないだろうか、


自分の人生を褒めてもらったのも初めてである。


面ばゆいが。