腐りかけのオレンジ
絞って飲んだら噎せて
吐いた
/
蝉の慟哭
渦になって
沸き上がる焦燥
夏、けたたま しく
暮れなずむ空の
滲んだ色
思い出したい記憶が
喉をくすぐって
熱、駆け出したくなるような
オレンジが
いつまでも喉で
腐って
陽炎の中
月のように
満ち欠けを繰り返して
ようやく、
それから、ようやく
わたしも
鳴きたいのだと
叫びたいのだと
滲んだオレンジ色の空に
吐いて
吠えたいのだと
けたたましく
夏、駆けて
.
足の裏から伝わる温度が体内を巡り
混じり合いながら反発する繊細な衝動が意識を疑い
じっくりと湿っていく体は常に悲壮を渇望している.
鮮明な記憶を貪る様な酸素に肺を侵され
強ばる表情だけが表現の術というのは余りにも皮肉だとしても
生きていると叫ぶには頼り無いこの体だけが世界
現実は疾うに感覚から見放されて彷徨っている.
脳に捕らえた自我が薄れるのをただ待ち続けながら
呼吸する度に死に寄り添う.
.
愛を愛と知らないまま見返りを求めたあなた、哀しい人間はいつか可哀想な人間になってしまう、哀しい人間が自分は可哀想な人間だと気付くのは振り返る事すら出来ない程追い詰められた時であるという事、もう愛を愛として与える事も出来なくなった時だという事。
呪いのようだと思った、呪いだ、こころを縛って繰り返し絶望させて、願いを後悔に変えてしまうこれは呪い、
助けたかった、幸せを夢見た、でも叶わなかった。
愛を愛と知らないまま終わったあなた、私に呪いをかけたあなた。
許して愛そう、私にしか出来ない。
例えあなたが望まなくても。
後悔も反省もしない。
謝らないし、他を認めない。
そんな事でしか守れない自分すら あなたは認められないまま、生きて、
可哀想だ、あなたの形をなぞりながらそんな事しか言えない。
野晒しにしたんでしょう、私もしたから。だからもう 元には戻らない。