マスカーニ「の」苦悩ではありません。
彼も悩み、私も悩んでいるのです。
レベルは月とすっぴんの違いです。(意味なしジョーク
さて、ヤマハフルートグレード試験6級への道。
自由曲の背景を知ろう4回目です。
今回の企画はこれで最後になります。
4曲クラシック、1曲ジャズなので。
今回の曲は、カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲です。
作曲はピエトロ・マスカーニ(1863-1945)
イタリア出身です。
彼は優れたオペラ作曲家なのですが、一発屋とみられることが多いです。
その理由は、処女作であるカヴァレリア・ルスティカーナがあまりにも素晴らしいため、それ以降の作品が霞んでしまいました。このことは後々彼自身を苦しめることになります。
曲のタイトルである、カヴァレリア・ルスティカーナ(Cavalleria rusticana)。
意味は「田舎の騎士道」ですが、いまいちピンときませんねえ。
ドン・キホーテ的なものを想像してしまいます。
曲についての解説を調べていると、しっくりくる意訳がありました。
「ご当地の慣わし」
あー、なるほど。これならわかるなあ。
オペラの間奏曲ではあるのですが、一応曲自体の説明も簡単にしておきます。
ぶっちゃけ、「不倫の結果、元彼が決闘で死んでしまう」という
お昼のどろどろ恋愛ドラマという内容です。しかも、実話らしい。
いつの時代も、国境を越えてもこの手の話はあるものなんですねえ。
もうちょい真面目に解説
登場人物
サントゥッツァ(♀):
物語の主役。旦那(トゥリッドゥ)が元彼女(ローラ)と不倫していることに嫉妬し、ローラの旦那であるアルフィオに不倫のことを教える。
トゥリッドゥ(♂):
元々はローラと愛し合っていたが、戦争へ出兵するため別れてしまう。兵役中にローラが結婚してしまったため、恋愛を諦める。後にサントゥッツァと結婚する。しかし、ローラに誘惑に負けて不倫関係となる。ローラの旦那にばれ決闘を挑まれ命を落とす。一応、不倫はいけないこととわかっていて自責の念にかられていた模様。
ローラ(♀):
全ての元凶。勝手に結婚したくせに、トゥリゥドゥの幸せの新婚生活に嫉妬し、誘惑する。密かに不倫をするけでもなく、むしろサントゥッツァを煽るという見事な悪女っぷり。お陰で現旦那のアルフィオにちくられ、決闘で愛する人を亡くすという自業自得にも程がある。
アルフィオ(♂):
現ローラの旦那。嫉妬で狂ったサントゥッツァに不倫のことを聞き、怒りと憎しみに燃えトゥリッドゥに決闘を申し込み殺してしまう。ある意味被害者。
名曲で知られる美しい間奏曲は、このアルフィオが不倫を知り絶望し怒り狂う。
そして、トゥリッドゥに決闘を挑む場面の間で流れます。
そして、トゥリッドゥに決闘を挑む場面の間で流れます。
このアルフィオの絶望を表現したのが、あの間奏曲なのでしょうか?
(カヴァレリア・ルスティカーナ全編聞きながら、この記事書いています)
(つまり、この記事、書くのに1時間以上かかっている・・・)
・・・背景知ったら、どうやって間奏曲を吹けばいいのかわからくなってきた。
女性には理解できる背景なのでしょうか・・・?
しかし、作曲者のマスカーニは男だし・・・うーん。
当時のイタリアでは日常茶飯事だったのでしょうか・・・。
気を取り直して、楽譜のことについて考えましょう。
譜面自体は簡単です。吹くだけなら。
テンポも遅いし、難しい運指もあまりありません。
しかし、この曲は難しい。
綺麗に吹くことを要求されます。
もの凄すごく美しい旋律を奏でる力量を問われます。
完全に基礎能力が高いことを要求されます。
ちょっとやそっとの練習では美しく吹くことが出来ません。
(ここまで書いて、動画も間奏曲に入りました)
さてさて、曲の背景うんぬんは別として私はこの曲が嫌いになりました。
理由はこれです。
曲の最後の部分です。
ただの、ppとpppじゃんと思われるかもしれませんが、
笛吹きならこの意味がわかると思います。
上級者は、この意味を理解しているし、これを表現する実力もあります。
初級者は、この意味がわからないので、あんまり悩みません。
しかし、中級者はこの意味がわかっているけど、表現できないという絶望状態におかれます。
・・・はい、単に私の能力不足が原因であり、曲はなにも悪くありません。
フルートって音量の幅が他の楽器と比べ狭いので、fffとかpppはとても苦手です。
そういうふうに聞こえるようにする技術は当然あるのですが、これは一朝一夕で出来るものでありません。
しかも、高音域でこれですからね。音程が安定しないし、息もそれなりにいれないと失速して音が外れます。でも息を入れすぎるとpppにはなりません。
とても悩ましいのです。
とても悩ましいのです。
2年前に選曲した自分を呪いたい。
曲を知っているという理由で選んだ自分を呪いたい。
もうやるしかありませんけどね。
それにしても、何故こんな内容で、あんな美しい旋律で、ここまで人気なのかわからくなってきました。
もう、マスカーニの人生について書く気力がなくなってしまいました。
一応一言でいえば、カヴァレリアがあまりに人気だったため、いつどこへ行ってもカヴァレリアばかりリクエストされて、うんざりしていたみたいです。
記事を書いていて、ここまで後味が悪いのは初めてです。