例えばあなたが脳梗塞を患い救急車で病院に運ばれたとします。
手術をして、無事成功。
そうするとICUなどで集中管理されます。
1週間程度でしょうか?
次に一般病棟へ移ります。
1ヵ月もすれば回復期リハビリ病棟という所へ行き集中的にリハビリを行うことになります。
早いと考えますか?それとも遅い?
実は2ヵ月を過ぎると他院の回復期リハビリ病棟への移動はほぼできなくなります。
手術した病院に空きベッドがあればよいのですが、そううまくはいかないのです。
またリハビリの日数は病気の内容により決まっており、脳血管疾患の場合リハビリを最初に開始した日から150日です。
医学的には確かにこの時期に急速に回復しその後回復度は緩やかになって行くそうです。
この時期に集中的にリハビリを行うという意味がわからなくはありません。
あなたが若く、運が良ければ150日以内で退院ができるでしょう。
しかし、高齢者の場合やちょっと運悪く途中で肺炎などを起こしてしまいリハビリが遅滞し退院できる程までに回復しない場合はどうなるのでしょうか?
退院できます。
正確に言うと追い出されます。
信じられないかもしれませんが本当に追い出されるのです。
ただし全員ではありません。
特に医療行為が必要な場合医療療養病棟へ移ることができる場合もあります。
ここまでは医療保険が適用されていると思います。
医療療養病棟へ行くほどの医療行為が必要ではない人は、病院を追い出されてどこへ行くのでしょうか?
その程度や状態に応じて
介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設
のいずれかを自分で探したり、家族に探してもらったりして、そこに入ることになります。
これらは、介護保険が適用されております。
行くところが有ればよいのですが、施設が全く足りていません。
行き場がない人がたくさんいるのです。
一方で医療療養病棟へ行った場合はどうなるのでしょうか?
治療を受けながらリハビリを受けます。
ここに来るのはある程度高齢である方が多いため、様々な病気を持っている場合が多く、病院側も怖くてリハビリをなかなか進めることができません。
また、脳梗塞の場合であれば、口から食事ができなくなっている場合も多く、胃ろう(胃に直接栄養分を流し込む)をしていれば、この頃には喋れなくなっていることもあり得ます。
先日亡くなられた忌野清志郎さんも歌えなくなることを嫌がりこの胃ろうを拒否していたと報じられておりました。
あなたが意志を伝えられなくなっていれば、さらにリハビリは進まないでしょう。
その結果、徐々に弱っていきます。
そうするとリハビリの効果なしと判断されリハビリを減らされていきます。
たとえあなたにリハビリを続ける意志があってもです。
特殊疾患療養病棟というところへ移るようです。
スタッフも少なく、リハビリも少ない。
みるみる弱っていきます。
いずれ、あなたは病院を出ることができます、暗い通路を通り、裏口から。
…。
文字で見ると、単に病棟を色々回るのかという印象かもしれませんが、病棟を変わるということは、スタッフも変わり、環境も変わるということです。
マスコミなどでもほとんど公表されていないでしょうが、引き継ぎがうまくいかずこのときに亡くなられる方がたいへん多いという事実があるのです。
またリハビリが減れば、回復する可能性がある患者でも確実に悪化します。
病棟の移動は、回復期リハビリ病棟以外でも大体日数で決められているようです。
個人個人事情が異なるにも関わらずです。
例えばリハビリ中に別の疾患が生じた場合でも延長というわけにはいかないのです。
私は、医療や介護の専門家ではありませんが、以上は概ね間違っていないと思います。
病院が非情なわけではありません。
病院は決められた範囲内で大変頑張ってくださいます。
でも、たくさんの人がシステムに殺されました。
これが小泉構造改革の実態なのです。
追記
ある事情によりリハビリの日数制限に泣いてきた方々をたくさん見てきました。
他人事と言えばそうなのですが、見ていて本当に辛いのです。
先日ブログの記事『前略 鴻池祥肇官房副長官 様 』において
「この国には無駄に空いてるベッドなどただの一床もありません。」
と感情的に書いてしまったのは、このような事情からです。
特権なのか何か知りませんが、何か事あるごとに政治家がマスコミから逃げるために入院を利用する。
「そんな空きベッドがあるんだったらリハビリが必要な人を追い出さずにおいてあげなよ。」
と怒りが込み上げてくるのです。
『前略 鴻池祥肇官房副長官 様 』はお見苦しい内容だったと思います。
失礼しました。
おわび
先日『戦いの第二幕 』において、原口一博氏がもし出るなら岡田副代表との兼ね合いが云々と書いてしまいました。
私の記憶では原口氏は羽田グループで、グループの大御所渡部恒三氏が岡田副代表を推すことはわかっておりましたから、その関係で調整が必要だと思ったのですが、原口氏は鳩山幹事長応援団でした。
無知をお許しください。