ガソリン税の暫定税率と道路特定財源について | 第6の権力 logic starの逆説

ガソリン税の暫定税率と道路特定財源について

ガソリン税(揮発油税)はじめ暫定税率の維持が困難な状況になってきました。


道路の問題については、住んでいる地域によって、意見が異なるのではないでしょうか。


関東、関西、そして、長野や愛知などでは、これまで国策として道路などのインフラ整備が進められているので、「これ以上自分の住んでいる地域に道路はいらない。自分の住んでいない地域の無駄な道路のために税金を使うな。それよりも税金を下げてほしい」という住民が多いのではないでしょうか。道路整備不要論です。


それ以外の地域では、「関東や関西の人にとっては不要な道路でも、地域住民にとっては必要な道路。それを無駄な道路だというのは自分のことしか考えていない意見だ。関東、関西から整備が進んで、後から順番がまわってくると思ってがまんしていたのに、途中で打ち切りなんて許せない。ここで打ち切って、地方を切り捨てるのであれば、これまで関東や関西の道路整備につぎこまれた国の財源や、ほとんどが関東に(そしてわずかに関西にある)国立施設の整備にかかった費用などを、関東や関西の住民が国に返却して、その財源をあらためてすべての地方に分配せよ」と思うでしょう。道路整備維持派の意見です。


日本にとってなにがよいのか、という問題よりも、自分にとって必要なのかどうか、という観点から、意見の違いがでてしまう性格の問題なのではないでしょうか。


わたしの住んでいる地域は、インフラの整備がすすんでおり、もう道路整備も十分だと思っています。しかし、公平という観点からいえば道路整備不要論は分が悪く、道路整備維持派のほうが正論だろうと思います。


地域間のエゴの争いということではなく、日本にとってなにがよいのかという問題としてとらえるのであれば、最後は都市集中の是非ということになり、都市集中型の国をつくるのであれば地方自治のあり方から考え直すということになるのかもしれません。


ただ、暫定税率については、暫定税率を維持しないと困る、というのは、暫定という趣旨からいえばおかしいので、必要な税率を一般税率化するのがよいと思います。


また、道路特定財源の一般財源化というのは、特定財源だと予算のチェックが甘くなるので、一般財源にしたほうがよい、ということなんだろうと思います。本当は、特定財源であっても予算のチェックが甘くなる理由はないのですが、現実問題としてそういうことがあるのであれば、一般財源にするということも理解できます。そうだとすれば、道路特定財源が余るか、余らないか、ということにこだわるべきではないはずです。


なお、道路特定財源がなくなれば道路は作れなくなる、というわけではありません。道路特定財源は、道路にしか使えませんが、一般財源を道路に使うことはなんら問題ありません。したがって、特定財源の縮小と、道路整備の進捗を、当然に一体のものと考えるべきではないと思うのです。


暫定税率がなくなれば、道路特定財源は減ります。しかし、一般財源で道路をつくることもできますので、道路整備が縮小すると決まったわけではありません。それでは、なにをやめるのでしょうか。収入が減れば、支出が減ります。収入を減らせと主張するのであれば、どの支出を減らすのか、当然あわせて議論すべきだと思います。もし、道路整備を減らすのではなく高齢者福祉を減らすのだ、ということであれば、費用と負担との関係を考えれば暫定税率を維持して消費税を減税すべきだ、いや自動車使用者の負担はもともと高すぎるのでやはり暫定税率を廃止すべきだ、といったことも議論できるはずです。そうした議論を国政の場でしてほしいと思っています。しかし、報道されるのが「政局がらみ」ばかりで、心配しています。


税制全般については、わが国の税金は、多岐にわたり複雑ですので、もっとシンプルにしたほうがよいと思っています。シンプルにしたほうが徴税コストも低くなります。たとえば、先に述べたように、暫定税率といったものはやめたほうがよいと思います。自動車に関する税は、重量税などは廃止してしまい、ガソリン税(揮発油税)に一本化してはどうでしょうか。また、印紙税、登録免許税、不動産取得税などは廃止してしまってよいのではないでしょうか(そのかわりに消費税などは増税してもよいと思います)。さらに、国税・県税・市民税の徴税システムの重複も排除して、市町村がすべての税金を徴収してはどうかと思っています。市町村がすべての税を徴収し、県や国に分配するとすれば、コストも削減でき、地方分権も進むのではないでしょうか。(国が地方に無理なことをいうと、地方は「だったらその分の経費をさっぴいてから国税を国に渡すね」といったり、「国が地方に協力しないのなら、国税の徴収にも協力しないよ」といったりして、逆襲するのです。)