2026年1月10日付の共同通信社が、

『【独自】所有者不明建物の実態調査 全国1千万戸超、未登記か』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を引用し、全国で所有者不明建物が1千万戸を超えた原因と国の対応策を考察しました。

 

《記事の引用》

建物として存在しているにもかかわらず、登記が行われておらず、所有者がすぐに特定できない「未登記建物」について、法務省が実態調査を進めていることが、2026年1月10日分かった。政府推計では、こうした建物は全国で1千万戸を超えるとされる。

 

未登記建物は、大規模災害時に所有者の確認に時間を要し、復旧や再建の妨げになる恐れがあるほか、不動産取引の円滑化を阻害する要因ともなっている。

法務省は2026年3月までに調査結果を取りまとめ、解決策の検討を進める方針だ。

 

不動産登記法では、新築した建物などについて、1か月以内に登記申請を行うことが所有者に義務付けられている。

しかし実際には、登記がされないまま放置されているケースや、敷地内に複数の建物があるにもかかわらず、母屋のみが登記されているケースなどが多いとみられる。

 

政府の住宅・土地統計調査によると、全国の建物数は約6240万戸に上る一方、登記されているのは約5160万戸にとどまる。

2011年の東日本大震災では、所有者の特定に時間がかかり、復旧対応の大きな障害となった事例もあった。

 

こうした状況を踏まえ、政府は2025年6月に閣議決定した規制改革実施計画に、未登記建物の解消を明記し、対策強化に乗り出している。

(引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

<全国で所有者不明建物が1千万戸を超えた原因と国の対応策>

 

所有者不明建物が全国で1千万戸を超えた背景には、複数の構造的要因が重なっている。

第一に、新築時の登記未実施である。とりわけ昭和期以前の建物や、農村部・地方部では「登記しなくても生活に支障がなかった」という慣行が長く続き、未登記が半ば黙認されてきた。

自治体の固定資産税台帳で課税は行われていたため、問題が顕在化しにくかった点も大きい。

 

第二に、相続登記の未実施が深刻である。所有者が死亡しても相続登記が行われず、次の相続、さらに次の相続へと連鎖する「数次相続」により、相続人が数人から十数人規模に膨らむケースが珍しくない。

消息不明者が含まれると、事実上、所有権の整理は不可能となり、建物や土地は宙に浮いた状態となる。これが空き家問題や防災上のリスクを拡大させてきた。

 

第三に、制度運用上の分断も見逃せない。法務局の登記情報と自治体の課税台帳が十分に連携しておらず、「税は取れているが、法的所有者は不明」という状態が長年放置されてきた。

災害時やインフラ整備時に、道路や上下水道工事が進められない事例が各地で起きている。

 

こうした反省を踏まえ、国は2024年4月から相続登記を義務化し、正当な理由なく放置した場合には過料を科す制度を導入した。

また、未登記建物の実態調査を進め、規制改革実施計画に是正方針を明記した点は前進といえる。

 

ただし、罰則強化だけでは不十分だ。

相続手続き自体が煩雑で、一般市民には過度な負担となっている現実がある。

今後は、相続手続きの簡素化、課税台帳と登記情報の自動照合、長期間放置された不動産の公的管理・集約制度の整備など、実務に踏み込んだ対応が不可欠だ。

所有権を「管理できる形」に戻すことこそが、復興、防災、地域再生の土台となる。

 

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