2025年9月26日付のロイター通信が、

『セブン銀と伊藤忠が資本業務提携 ファミマにATM設置』

と題した記事を報じていました。

他のメディアの記事では、この「セブン銀行のATMのファミリーマートへの設置が実現すれば、セブン銀行が設置するATMの数は4万台を大きく超え、ゆうちょ銀行のおよそ3万1000台を抜き、国内最多となる」とのことです。

 

個人的には、この報道を知ったとき、“まさか、ファミリーマートにセブンイレブン系のセブン銀行のATM設置される時代が来るとは!!”という感想で、驚きました。

以下に、このロイター通信の記事を要約し、セブン銀行と伊藤忠商事の業務提携の双方の狙いと今後の展開、イーネットなど他のコンビニATMや利用者への影響を予測し、考察しました。

 

《記事の要約》

セブン銀行は2025年9月26日、伊藤忠商事と資本業務提携することを発表した。

伊藤忠の子会社ファミリーマートの店舗に、セブン銀行のATMを順次設置していく。

 

セブン銀行は第三者割当増資により、伊藤忠に自己株を譲渡。伊藤忠の持株比率は16.34%となり、第2位の大株主に躍り出る。

さらに伊藤忠は市場での買い増しを予定しており、議決権ベースで20%に達すれば、セブン銀行は伊藤忠の持分法適用会社となる見込みだ。

 

今回の増資により調達した約513億円は、新規ATM設置や現金補充の費用に充てる。

両社は今後、クレジットカードや決済など幅広い金融サービスでも協業を検討する。

 

セブン銀行は、培ってきたATMやリテール金融のノウハウを伊藤忠のビジネス基盤と連携させ、新サービスの開発を狙う。

ファミリーマート側も、セブン銀行ATM導入によりキャッシュレス決済の現金チャージ機能などを強化し、店舗の利便性向上を図る方針だ。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

今回の提携は、セブン銀行と伊藤忠商事の双方にとって大きな戦略的意味を持つ。

まずセブン銀行にとっては、国内コンビニATM市場でシェア拡大の好機だ。これまでセブン銀行ATMはセブン‐イレブンを中心に展開してきたが、ファミリーマートという大手コンビニ網を獲得することで、利用台数と手数料収益が大幅に増加する。

加えて、ATMを通じた現金チャージや送金といった新サービスの展開余地も広がる。

 

一方、伊藤忠・ファミリーマートにとっては、金融インフラ強化と顧客利便性向上が狙いだ。

従来、ファミマ店舗のATMはイーネットやゆうちょ銀行などが混在しており、利用者が必要なサービスを受けられず不便を感じる場面も少なくなかった。

セブン銀行ATMは機能性が高く、各種キャッシュレス決済や多様な銀行口座との接続が可能であり、ファミペイとの親和性も期待できる。

これにより、ファミマ来店者の利便性が大きく向上し、集客力強化にもつながる。

 

この提携はコンビニATM業界全体に大きな影響を与える。

特にイーネットにとっては打撃が大きい。ファミマはイーネットの主要設置先の一つであり、撤去が進めば利用件数の減少は避けられない。

ゆうちょ銀行もファミマ設置ATMの一部を失うが、郵便局内のATM網を持つため影響は限定的だろう。

逆に、イーネットは今後スーパーやドラッグストアなど新たな設置先を探さざるを得ず、業界再編の引き金となる可能性がある。

 

消費者利便性の観点では、今回の提携はプラスに働く部分が多い。

セブン銀行ATMは操作性や機能の充実度で評価が高く、PayPayや交通系IC、電子マネーのチャージなど対応範囲が広い。

これまでファミマ利用者が不便を感じていたチャージ機能の制約は大きく改善される見込みだ。

また、セブン銀行口座利用者にとっては手数料無料時間の長さなども魅力となり、他行からのシフトも起きる可能性がある。

ただし、利用者が慣れ親しんだ「ゆうちょ無料」の仕組みがなくなるといった点では、一部で不満も出るだろう。

 

さらに、伊藤忠とセブン銀行の協業は金融にとどまらず、物流や決済プラットフォーム、ひいては小売全体の競争構図にも影響する可能性がある。

ローソンを中心とした三菱・KDDI連合、イオン銀行を軸としたミニストップ連合との間で、金融・流通を絡めた競争が激化していくことは避けられない。

 

総じて、この提携はセブン銀行にとって「第二の成長曲線」の起点となり、ファミリーマートにとっては「金融サービス強化による競争力回復」の布石となる。

他方で、業界の再編や寡占化が進めば、消費者が将来的に手数料などの負担増に直面するリスクもある。利便性向上と同時に、公正競争の確保が課題となるだろう。

 

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