2025年9月28日付の「オトナンサ-」が、
『SNS「理解できない」と批判 クマ駆除した自治体へ「かわいそう」と抗議する人ってどんな心理状態?【精神科医が分析】』
と題した記事を報じていました。
2025年は、例年以上に、「クマ被害」が報じられ、人間が平和に暮らすためには、「人間はクマにとって恐ろしい生き物」という意識付けや「山奥にクマを追い込むための徹底した駆除」の必要性が、熊の生態に詳しい専門家はもちろん、市民からもそのような意見が上がっています。
しかし、ヤフコメやSNSの投稿を見ると、一定数「駆除はクマがかわいそう」、「罠で捕獲しても山に返すべき」といった声があります。
以下にこの記事を要約し、“クマがかわいそう”という人の心理状態とこのようなタイプの人とわかり合うことは可能なのか、考察しました。
《記事の要約》
近年、北海道や東北地方を中心に、人がクマに襲われる被害が相次いでいる。
特に秋は冬眠前でクマの食欲が旺盛となり、人里への出没が増える季節とされ、注意が必要だ。
各地では猟友会が人に危害を与えたクマを駆除しているが、自治体には「クマを殺すのはかわいそう」「命を奪うべきではない」といった苦情が寄せられることも少なくない。
SNS上では「理解できない」「感情論だ」との声も広がっている。
人に危害を与えたクマの駆除に「かわいそう」と感じる人の心理について、精神科専門医の清水聖童氏(ライトメンタルクリニック理事長)は次のように分析する。
第一に、メディアやSNSで「プーさん」「テディベア」といった愛らしいイメージが浸透し、クマを人間的な存在と重ね合わせる「擬人化」の傾向がある。
その結果、猛獣であるはずのクマに対しても共感が高まりやすくなる。
第二に、駆除を「人間の都合による殺生」と映すことで、自分も加害側に加わるような罪悪感を覚える人がいる。
そのため「かわいそう」という感情が自己防衛として働く。
第三に、命の尊重や自然との共生といった価値観の投影である。
社会への不満や無力感を背景に、クマを弱者に見立てて寄り添う人もいる。
一方、「駆除すべき」と考える人は人命や地域の安全を最優先し、リスク認知や合理的な判断を重んじる。
両者の違いは、感情を重視するか合理性を重視するかという優先順位にある。
清水氏は「互いの主張が対立しても、相手の感情を否定しないことが重要だ」と指摘する。
背景にある価値観を尊重しつつ、建設的な会話を心掛ける姿勢が求められている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
「クマがかわいそう」と訴える人の心理には、単なる動物愛護心以上の要素があります。
清水氏の指摘にあるように、まず大きいのは「擬人化」です。プーさんやテディベアのような愛らしいイメージが浸透し、実際にはライオンや虎に匹敵する猛獣であることを忘れさせます。
現実の被害の残虐さを知らないまま、感情的に「かわいそう」と言ってしまう背景には、情報の偏りや想像力の欠如もあるでしょう。
また、駆除に対する罪悪感から目を背けたい心理も作用します。
人間の活動が野生動物を追いやっている面もあり、「人間の責任で殺している」と感じる人は、その不快感を「かわいそう」という言葉で薄めようとします。
さらに「命の尊重」や「社会への不満」といった価値観を動物に投影するケースもあります。
弱者の立場に寄り添うことで、社会に対する不満や自己の無力感を表現しているとも言えます。
では、このような人々とわかり合うことは可能なのでしょうか。
まず重要なのは「頭ごなしの否定を避ける」ことです。
被害者の写真を見れば考えが変わるのではないかという意見もありますが、現実の惨状を突き付けるだけでは、防衛的に感情を固めてしまう恐れがあります。
むしろ「あなたが大切にしている命の尊重は理解できる」と受け止めたうえで、人間の命や地域社会の安全もまた尊重すべき命であることを丁寧に伝えることが建設的です。
さらに「共存」という言葉を具体的に考えることも必要です。
共存とは「互いに縄張りを侵さない」ことであり、境界を越えて人里に出てくるクマは、人間にとって脅威であると説明することが重要です。
実際、被害を受けた住民は恐怖の中で暮らしており、その現実に触れたとき、初めて「かわいそう」という言葉の一面性に気づく人も出てくるでしょう。
結論として、「クマがかわいそう」と感じる人と完全に意見を一致させることは難しいかもしれません。
しかし、感情を否定せず、価値観を尊重したうえで対話を続ければ、少なくとも相互理解は可能です。
人命と動物の命の両立という課題に向き合う姿勢を共有することこそが、分断を超える第一歩になるのです。
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