2025年8月24日付のテレ朝NEWSが、

『新米5キロ8800円完売 コメ店「一番多く売れる」 一方で水不足に肩を落とす農家も』

と題した見出し記事を報じていました。

以下の、この記事を要約し、高値でも新米が売れる理由とその影響について考察しました。

 

《記事の要約》

新米のシーズンを迎え、各地の店頭に続々と並ぶ中、驚くほど高値の商品が完売している。

福井市のスーパーでは、地元ブランド米「ハナエチゼン」が例年より高い5キロ4730円で販売され、横浜の専門店では5キロ8800円の高知県産コシヒカリや5キロ6800円の沖縄県産「ちゅらひかり」がすでに完売した。

1.5倍に値上がりしても新米を選ぶ消費者が多い背景には、「味」「安心感」「初物へのこだわり」がある。

 

一方で、令和6年産の旧米は安価にもかかわらず売れ行きが鈍い。

「どうせ買うなら新米」と考える人が多いためだ。

8月22日にはコメの全国平均価格が5キロ3579円と7週ぶりに高値となり、農水省も価格動向を注視している。

 

生産現場では明暗が分かれる。新潟では豊作予想に加え、JAが農家に支払う概算金を大幅に引き上げ、コシヒカリで前年比1万3000円増の3万円超となった。

一方、宮城ではダムの貯水率ゼロが続き、水不足で稲が不稔となるなど被害が出ており、生産者は従来の栽培方法が通用しなくなっていると危機感を示す。

 

消費者は高値でも「おいしい新米」を選ぶ傾向が強まる一方、価格高騰や地域的な不作が今後の米消費や食文化に影響を及ぼす懸念がある。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<高値でも新米が売れる理由とその影響>

 

◆高値でも新米が売れる理由

 

第一に、「初物志向」が根強い。日本人は昔から「初鰹」や「初物」に価値を見出し、高値でも購入する文化がある。

新米もその一例で、「秋の味覚」として特別感があり、季節を実感できる食卓を求める層が一定数存在する。

 

第二に、「味と安心感」への期待がある。

新米は香りや食感が格別とされ、家族で食卓を囲む喜びを象徴する食品だ。記事でも、子どもが「おかわり」をねだる場面が紹介され、単なる栄養源以上の価値を持つことが示されている。

さらに旧米との価格差が縮小しているため、「どうせなら新米を」と考える心理が働きやすい。

 

第三に、農家側の価格引き上げが「正当化」されている点だ。JAの概算金が大幅に上がったことにより、「農家の利益に還元されるなら納得できる」と考える消費者もいる。

 

◆良い影響

 

高値でも新米が売れることは、農家の経営安定につながる。

長引く物価上昇や気候変動でコストが増える中、収益改善は持続可能な稲作を支える基盤となる。

また、消費者が「品質や安心にお金を払う」意識を持つことで、国産米ブランドの価値が高まり、国内農業全体の競争力向上にも寄与する可能性がある。

さらに、地域ブランド米やプレミアム米の販売が拡大すれば、地方経済の活性化や観光との連携といった副次的効果も期待できる。

 

◆悪い影響

 

一方で課題も深刻だ。

まず、消費者の二極化が進む。

高価格でも購入する層と、備蓄米や輸入米に頼る層に分かれ、食の格差が広がる恐れがある。

家計に余裕のない家庭ではパンやパスタへ移行し、米離れが進む可能性が高い。

また、適正価格を超えた高値が常態化すれば、「投機的に価格を吊り上げているのでは」という不信感が生まれる。

農家が妥当と考える5キロ3000〜4000円を大幅に超える価格は、流通過程の透明性への疑念を強めかねない。

さらに、猛暑や渇水といった気候リスクが生産を不安定にしているため、供給不足が重なれば再び急騰する懸念もある。

 

◆まとめ

 

高値でも新米が売れる背景には「初物志向」「味と安心」「農家支援への理解」がある。

しかし、その一方で「食の二極化」「米離れ」「流通への不信感」といった副作用が顕在化しつつある。

新米の特別感を守りつつ、適正な価格設定と持続可能な供給体制をどう確立するか。

それが今後の日本の食文化と農業を左右する大きな課題となっている。

 

 

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