2025年8月20日付の毎日新聞が、
『大阪ビル火災 屋外の室外機付近が激しく焼損 府警が出火原因を捜査』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、出火原因について考察しました。
《記事の要約》
2025年8月18日午前10時前、大阪・ミナミの道頓堀川沿いで発生した雑居ビル火災では、消火活動中の消防隊員2人が犠牲となった。
火元とみられる6階建てビルの1階南側壁面に設置された空調の室外機付近が激しく焼けていたことが、20日までに判明。大阪府警と大阪市消防局は出火原因の特定を進めている。
この火災で、隣接する7階建てビルにも延焼し、約100平方メートルが焼失した。両ビルは通路でつながっており、7階建てビルの5階で消火活動にあたっていた隊員2人が天井崩落に巻き込まれ、窒息死した。専門家によれば、室外機はモーターのショートや炎天下での高温が原因で発火する事例がある。
現場のビルでは複数の室外機が設置されており、調査が続いている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<大阪・ミナミ雑居ビル火災の不可解な点・原因推定・再発防止策>
今回の火災には、いくつかの不可解な点がある。
まず、外部設置の室外機付近からの延焼規模が異常に大きいことだ。通常、ビルの外壁や設備は不燃材が使われるはずだが、短時間で隣接ビルにまで火が燃え広がった。
この点から、可燃物の存在(広告看板、廃材、放置物など)や、油分や埃の蓄積などが火勢拡大を助長した可能性が高い。
出火原因については複数が考えられる。
第一に、室外機自体の電気的トラブルである。
老朽化した配線や劣化したモーターがショートすれば、火花が生じて火災に至る。
また、今年の猛暑で冷房稼働が続き、過負荷により電圧上昇や発熱が生じやすい状況だった。
第二に、人的要因や環境要因である。
周辺には飲食店も多く、油煙の堆積やタバコのポイ捨てなども無視できない。
さらに、ゴミや資材が一時的に置かれていた可能性も指摘される。
これらが相互に作用し、火災を拡大させたと考えられる。
再発防止には、複合的な対策が不可欠である。
まず、ビル管理者は空調機器の定期点検・更新を徹底すべきだ。
特に耐用年数を超えた室外機は火災リスクが高く、交換が望ましい。
また、外壁の広告や看板、ゴミの一時保管など、可燃物を室外機付近に置かないことも基本だ。
さらに、雑居ビル特有の管理責任の曖昧さを解消する仕組みも必要である。
フロアごとに所有者が異なる場合でも、共有部分の安全対策を共同で実施しなければ、今回のような悲劇を防ぐことは難しい。
行政側にも課題が残る。消防検査での軽微な指摘を軽視せず、改善を義務付ける体制が求められる。
抜き打ち検査や違反時の厳罰化も検討すべきである。
2001年の歌舞伎町ビル火災以降、建築基準や防火規制は強化されたが、現場レベルでは依然として「検査時だけ対策」という姿勢が根強い。
これを改めるには、継続的な監視と改善サイクルの確立が欠かせない。
今回の火災は、単なる室外機の不具合ではなく、老朽化設備、周辺環境、管理不備が重なって発生した「複合要因型の火災」である可能性が高い。
犠牲となった消防隊員の命を無駄にしないためにも、原因究明と再発防止策の徹底は急務である。
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