2925年5月6日付の読売新聞(オンライン版)が、
『配車アプリの手数料規制へ、事業者の自由設定から認可制も視野…タクシー料金の上昇を抑制』
と題した見出し記事を報じていました。

筆者も「GO」は、しばしば利用しますが、「タクシーの運転手さんから発行していただく領収書」と「GOのサイトから発行される領収書」の金額が異なるので、初めて利用したときは「?」と一瞬思いました。


領収書の中身をよく確認したら、当然ですが、「GO」の領収書には、タクシー会社に支払う「運賃と迎車料」以外に「AI予約手配料」と「アプリ手配料」があるのです。
「GO」は、乗客とタクシー会社の間の「仲介業」だから「手配料」が掛かるのですが、「公共交通運賃を発注者に請求できる案件業務」の場合、仲介料に相当する「アプリ手配料」等を含めて請求してよいものか、迷います。

少し話が逸れましたが、以下に、この読売新聞の記事を要約し、手数料の許可制などについて考察しました。

《記事の要約》
国土交通省は、タクシーを配車アプリで予約した際に課される「配車手数料」について、現行の自由設定制から認可制に移行する方針を固めた。
これは、運賃や迎車料金と異なり、配車手数料が利用者にとって不透明であり、将来的な価格高騰への懸念があるためだ。
現在、UberやGOなどのアプリ事業者は「旅行業者」として道路運送法の規制対象外となっており、配車手数料も自由に設定可能。例えば、東京都内では100~500円以上の手数料が発生し、優先配車では乗車料金の50%に達する例もある。

この状況を受け、国交省は公共交通機関としてのタクシーの公平性と透明性確保を目的に、有識者会議を通じ制度設計を進めている。
一方で、配車アプリが果たす業務効率化の役割も大きく、過度な規制による弊害も懸念されるため、慎重な対応が求められている。
(以上、記事の要約)

《筆者の考察》
~手数料の許可制の必要性と制度設計上の留意点~
配車アプリの急速な普及とともに、タクシー利用における「配車手数料」が新たな課題として浮上している。
かつては手を挙げて拾うのが一般的だったタクシーも、アプリの登場によって利便性が格段に向上した。
一方で、利用者が気づかないうちに多額の手数料を支払っている現実があり、透明性の欠如が問題視されている。

◆なぜ許可制が必要か
1)利用者保護と価格の透明化
配車手数料は実際には100円を超えることが多く、状況によっては乗車料金の50%近い加算となるケースも報告されている。
これは「運賃」と「迎車料金」が公的に管理されているのに対し、アプリ会社の手数料だけが野放し状態であることが原因だ。
公共交通機関としての信頼を損なわないためにも、国が関与して妥当な範囲に収める仕組みが求められる。

2)市場支配のリスク抑制
UberやGOといった巨大プラットフォーマーが料金決定権を持つことで、将来的に市場価格を人為的に操作するリスクも指摘されている。
特にGOは大手タクシー会社との資本関係を背景に、自社系ドライバーを優遇する運用を行っているとされ、公正な市場競争を損ねかねない。
こうした恣意的な料金設定への抑止力として、認可制は有効である。

3)労働者の適正利益確保
手数料が高額であっても、その大半がアプリ運営会社に入り、ドライバーに還元されないケースが多い。
また、チップやキャンセル料も運転手に届かず、ドライバー側のモチベーションや公平性の観点からも課題が残る。運転者への適正分配も認可の際の審査基準とすべきである。

◆制度設計上の考慮点
1)地域性と運用柔軟性の確保
都心部と地方ではアプリ利用状況が大きく異なる。
都市部では混雑時や雨天など、特別な需要が集中する時間帯の特別料金をどう扱うか、地方ではアプリ加盟率の低さや事業者数の限界を考慮し、一律の上限規制ではなく地域に応じた調整メカニズムを導入する必要がある。

2)透明な情報提供義務の導入
手数料の仕組みやドライバーへの配分、キャンセルポリシーなど、アプリ使用前に利用者が明確に理解できるような料金の事前明示を義務づけることが重要だ。

3)公正取引の確保
特定のタクシー会社を優遇する配車ロジックが存在するとの指摘もあり、公正取引委員会との連携を強化し、優先配車の透明性・平等性の確保も制度設計に組み込むべきである。

配車アプリは都市交通の利便性向上に寄与してきたが、行き過ぎた自由化は利用者の負担増や市場の不均衡を招く。
国交省の規制導入は、単なる価格統制ではなく、「利用者保護・公正性・ドライバー支援」という三位一体の視点から制度を再設計する絶好の機会である。
 

 

 

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