2025年1月26日付の共同通信社が、
『単発バイト、半数がトラブル 仕事内容や賃金、時間』
と題した見出し記事を報じていました。
「スキマバイト」は、私が仕事で関係する企業でも近年、取り入れられているケースが増えました。
ただ、感覚的には、作業や業務方法を10分ほどレクチャーしてできる単純作業以外は、「初体験の仕事」は、スキマバイトで人員確保しても、結果的には効率的ではない、ような気がします。
たまたま、2025年1月26日放送のTBS系「がっちりマンデー」をみていたら、日本交通取締役で、タクシーGoの川鍋会長が、「スキマバイト」で居酒屋の接客を体験する場面がありました。川鍋会長は、無難に仕事をしていましたが、ドリンクの中身を聞かれるシーンもあり、例えば、私が安易にスキマバイトのアプリを通じて応募しても、お店に迷惑を掛けるだけだな、と感じました。
以下に、この記事を引用し、スキマバイトで生じるトラブルと運営会社や厚生労働省が取るべき対策について考察しました。
《記事の引用》
働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就く「スポットワーク」で、46.8%がトラブルを経験したとする調査結果を連合がまとめた。
求人情報と実際の仕事内容が異なったり、勤務中の指示が不十分だったりしたほか、賃金や労働時間が募集と違ったとの回答もあった。
こうした仕事は「スキマバイト」とも呼ばれ、スマートフォンのアプリで手軽に探すことができる。
トラブルを経験した人にその内容を複数回答で尋ねたところ「仕事内容が求人情報と違った」が19.2%で最多。「業務の指示や教育が不十分」が17.7%で続いた。
(記事の引用、ここまで)
《筆者の考察》
「スキマバイトのトラブルと対策」
短時間・単発の仕事として注目を集めている「スキマバイト」ですが、その簡便さの一方で、多くのトラブルが報告されています。
連合の調査によれば、46.8%が何らかのトラブルを経験しており、その内容として「仕事内容が求人情報と異なる」「業務の指示や教育が不十分」といった問題が指摘されています。
これらのトラブルは、スキマバイトを運営する企業や雇用主、そして行政が取り組むべき課題を浮き彫りにしています。
以下では、予想されるトラブルと、それに対する運営会社や厚生労働省が取るべき具体的な対策を考察します。
1.予想されるトラブル
スキマバイトの仕組みはスマートフォンのアプリを介して短期間で仕事を見つけられる利便性が特徴ですが、以下のトラブルが今後も増加する可能性があります。
1)労働条件の齟齬
求人情報で提示された内容(賃金、労働時間、交通費支給など)が実際の条件と異なるケースが続発しています。
労働者が契約内容を正確に把握できない状況が、賃金未払い・不適正な労働環境の原因となります。
2)教育・指示の不十分さ
単発の仕事であるため、雇用側が十分な教育や指示を省略する傾向があります。
この結果、労働者が業務内容を理解できず、現場での混乱や効率低下を招く場合があります。
3)雇用者・労働者間のトラブル
短期雇用の性質上、労働者を「使い捨ての駒」として扱う雇用者が存在し、労働者のモチベーション低下や労働環境の悪化を引き起こします。
4)精神的・経済的脆弱者の存在
スキマバイトを利用する層には、精神的・経済的に脆弱な人々が含まれる可能性があります。
支援が必要な人々が適切なフォローを受けられないまま、不適切な労働環境にさらされるリスクが考えられます。
2. 運営会社が取るべき対策
スキマバイトを提供するプラットフォーム運営会社には、次のような改善策が求められます。
1)求人情報の透明化
求人情報を登録する企業に対し、労働条件や仕事内容の記載内容を厳格にチェックし、不適切な情報が掲載されないよう管理する仕組みを構築する必要があります。
また、労働者が条件を事前に確認・同意できる仕組みを整えることが重要です。
2)評価システムの強化
雇用者・労働者双方が相互に評価を行う仕組みを整えることで、信頼できる雇用主を可視化し、労働者が安心して選べる環境を提供します。
3)教育コンテンツの提供
プラットフォーム内で事前に業務の概要や必要な知識を学べる教育動画やマニュアルを提供することで、現場での混乱を防止します。
4)トラブル相談窓口の設置
労働者が安心して利用できるよう、トラブル発生時の相談窓口を設置し、迅速に対応する体制を整備することが必要です。
3. 厚生労働省が取るべき対策
行政としても、スキマバイトの健全な運営と労働者保護のために、以下の施策を推進すべきです。
1)規制と監査の強化
スキマバイトを仲介するプラットフォームに対し、労働基準法に基づく条件を明示させることを義務付けるとともに、定期的な監査を実施する必要があります。
2)法整備の推進
スキマバイトの特性に合わせた新たな労働規制を検討し、雇用者・労働者間の責任範囲を明確化します。
3)労働者保護の仕組み構築
単発労働に従事する人々の社会的な脆弱性に対応するため、生活困窮者向けの支援策や労働環境改善プログラムを提供することが求められます。
4)実態調査の実施
スキマバイト労働者の実態を把握するための全国調査を実施し、そこから得られたデータを基に効果的な政策を立案します。
4. 結論
スキマバイトは利便性が高く、労働市場における新たな可能性を提供する一方で、トラブルの多発により信頼性が問われています。
運営会社は労働条件の透明性を確保し、教育やサポート体制を強化するべきです。
また、厚生労働省は労働者保護と規制強化を通じて、安心して働ける環境を整えることが求められます。
社会全体でスキマバイトの課題に取り組むことで、健全な短期労働市場の発展が期待されます。
【好評発売中!】
『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001