2025年1月16日付の帝国データバンクが、
『業歴100年「老舗倒産」、過去最多を大幅更新 「リーマン超え」の145件、物価高や後継者難などを克服できず』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、老舗企業の倒産が増加した要因とその影響および老舗企業が生き残るためのポイントについて考察しました。
《記事の要約》
2024年、日本の老舗企業の倒産件数が過去最多となる145件に達し、前年の96件から約1.5倍に急増しました。
この数値はリーマン・ショック時の2008年(120件)を大きく上回る高水準です。
老舗企業は創業100年以上の歴史を持つものが多く、その多くが地域社会に愛され、伝統産業を支えてきましたが、昨今の経営環境の激変により、苦境に立たされています。
倒産した老舗企業を業種別に見ると、小売業が43件で最多でした。
スーパーマーケットや百貨店、呉服小売業、料亭といった昔ながらの業種が多く含まれています。
製造業も42件と高い水準を記録し、水産加工品、伝統的な清酒製造、地元銘菓などの食品関連企業が倒産しました。
小売業と製造業だけで全体の約6割を占めています。
主な倒産要因としては「販売不振」が圧倒的に多く124件に上りました。
さらに、物価高や後継者不足といった昨今の経営課題が老舗企業を直撃しました。
老舗企業は長い業歴とブランド力を武器に企業間取引での信頼や資産蓄積による安定性を持つ一方、小規模事業者が多く、急激な環境変化への対応に苦しむケースが目立ちます。
今後、老舗企業には、長年の伝統や理念に基づく経営だけでなく、現代の課題に対応する進取の気性が求められています。
《筆者の考察》
<老舗企業の倒産が増加した要因とその影響、および生き残るためのポイント>
◆老舗企業の倒産要因
1)販売不振
物価高騰や消費者の嗜好変化に対応できず、販売不振に陥る企業が増加しています。
特に地域密着型の老舗では、地元顧客の減少や観光需要の低迷が直撃しました。
2)後継者不足
後継者の確保が困難であることが老舗企業の大きな課題です。
高齢化が進む中、家族経営の企業では後継者が見つからず、廃業に追い込まれるケースが増えています。
3)コスト上昇
原材料費やエネルギーコストの高騰が収益を圧迫し、財務基盤の弱い中小規模の老舗企業を直撃しています。
4)経営革新の遅れ
老舗企業では伝統を重んじる一方、デジタル化やマーケティング戦略の見直しが遅れ、競争力を失うことが多いです。
◆倒産の影響
老舗企業の倒産は、その地域や産業全体に大きな影響を及ぼします。
地域社会では、地元の雇用や伝統文化の喪失が懸念されます。
また、観光資源としての老舗が消えることで、地域の魅力も失われかねません。
さらに、老舗企業が倒産すると、それに関連する取引先企業も経営危機に陥る可能性があり、連鎖倒産のリスクも高まります。
◆老舗企業が生き残るためのポイント
1)経営の多角化
主力事業だけに頼るのではなく、新しい製品やサービスの開発、他業種への進出を図ることで収益源を多様化させるべきです。
2)デジタル化の推進
ECサイトの活用やSNSによるマーケティングを通じて、新たな顧客層の開拓を目指すべきです。
また、効率的な業務運営を実現するためにデジタル技術を導入し、生産性向上を図る必要があります。
3)後継者育成と外部人材の活用
後継者が不在の場合、外部の専門人材や地域の若手経営者を登用することが有効です。
家族経営の枠を超えて、広く人材を募ることで、持続可能な経営を実現できます。
4)ブランド価値の再構築
老舗企業の強みである歴史や伝統を活かしつつ、現代の消費者ニーズに応える形でブランド価値を再構築する必要があります。
地元の魅力を発信する商品開発や観光資源としての取り組みが鍵となります。
5)公的支援の活用
地方自治体や国の補助金、経営支援プログラムを活用し、資金繰りの改善や経営改革に取り組むことが重要です。
特に、地域資源を活用した事業には行政の後押しが期待できます。
◆結論
老舗企業の倒産増加は、地域経済や伝統文化に多大な影響を与える深刻な問題です。
生き残るためには、伝統を守りつつ、経営改革やデジタル化といった現代の課題に柔軟に対応することが求められます。
また、行政や地域社会も老舗企業を支援し、持続可能な発展を共に模索していくことが必要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ942号より)
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