2024年12月20日付の「日刊SPA!」が、
『タワマンの“強固すぎるセキュリティ”が命取りに。救急救命士が「絶対助からない」と嘆く現場も』
という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、セキュリティが強固な建物における緊急事態について、考察します。
《記事の要約》
~タワーマンションの鉄壁セキュリティが救急活動の壁に 救命士が語る課題~
東京湾岸エリアなどにそびえ立つ高級タワーマンション。
見晴らしの良さや豪華な設備に加え、年々強化されるセキュリティが注目を集めています。
しかし、この鉄壁のセキュリティが緊急時には命取りになる可能性があると指摘されています。
救急救命士歴15年の「たたらさん」がSNSで語った実体験が注目を集めました。
彼は高齢者の腹痛による救急要請でタワーマンションに出動しましたが、セキュリティシステムの複雑さが救助の妨げとなり、大きな課題を感じたといいます。
1)エントランスの壁:緊急解除ボタンが見当たらない
救急隊が現場に到着した際、エントランスの集合ロックを解除する「パニックスイッチ」が見つからず、偶然居合わせた宅配便スタッフに開けてもらったといいます。
多くのタワーマンションではセキュリティ向上のため、緊急解除ボタンが目立たない場所に設置されていることがあり、場合によっては脚立がなければ届かない位置にあることもあるそうです。
さらに、管理人が24時間常駐していない物件では、管理室のインターホンに応答がないこともあり、救助が遅れる原因となっています。
2)エレベーターと部屋の玄関もさらなる壁
たたらさんが出動したマンションでは、エレベーター室にもロックが施されていました。
「もし通報者が応答できない状況だったら、消防隊に応援要請し非常用エレベーターのキーを使用するしかなかった」と語ります。
この手続きには少なくとも10分以上の時間がかかり、緊急性が高い心肺停止などの患者の場合は致命的な遅れとなり得ます。
また、部屋の玄関が施錠されているケースでは、同フロアの住民の協力を得る必要があり、さらに時間がかかる可能性があるとのことです。
3)救急活動に潜む課題
タワーマンションのような高セキュリティ物件では、緊急事態に迅速な対応が難しくなる点が問題視されています。
セキュリティ強化は住民の安全を守るために重要ですが、非常時に救急隊が迅速にアクセスできる仕組みが欠かせません。
また、消防法では「火災活動を妨げないよう緊急解除ボタンを設置すること」が求められていますが、設置が義務化されていないため、解除ボタンが存在しない場合もあります。
このような状況では、救急隊が即時に行動できず、患者の救命率に影響を与える恐れがあります。
4)住民と地域の連携の重要性
日本ACLS協会のガイドラインによると、心肺停止後の除細動が1分遅れるごとに救命率は7~10%低下するとされています。
10分以上除細動が行われない場合、生存の可能性はほとんどなくなります。
こうしたリスクを減らすため、住民が日頃からAEDの設置場所を確認し、消防署の救命講習を受けるなどの対策を講じることが重要です。
また、近隣住民との関係性を深め、いざという時に連携できる体制を整えることも求められます。
<まとめ>
セキュリティが強固な建物であっても、緊急時の救助がスムーズに行える仕組みを構築することが急務です。
管理会社や住民が協力し、非常用設備の使い方や消防隊との連携方法について周知する取り組みが、住民の安全を守る鍵となるでしょう。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<セキュリティが強固な建物における緊急事態の改善点>
1)強固なセキュリティが抱える課題
セキュリティの強化は住民の安全を守る重要な取り組みですが、一方で、救急隊や消防隊が迅速に現場へ到達できないという問題も浮上しています。
タワーマンションのような建物では、エントランスやエレベーター、部屋の玄関まで複数のロックが設置されており、救助活動が遅れることがあるのです。
主な課題として以下の点が挙げられます。
・緊急解除ボタンの位置と設置の不備
一部の物件では、緊急解除ボタンが目立たない場所に設置されていたり、そもそも設置されていない場合があります。
これにより、救急隊が現場に到着しても迅速に建物内に入れないケースが発生します。
・管理人の不在
24時間管理人が常駐している物件は少なく、特に夜間や休日には管理人不在が救助の障壁となることがあります。
・住民との連携不足
高層マンションでは近隣住民同士の関係が希薄なため、緊急時に協力を得ることが難しい場合があります。
2)改善のための提案
緊急解除システムの見直し 建物のエントランスやエレベーターには、明確でアクセスしやすい緊急解除ボタンを設置するべきです。
また、設置場所や使用方法を住民だけでなく、消防署や救急隊にも共有することで、スムーズな対応が可能になります。
・管理体制の強化
管理人が24時間不在の物件では、夜間対応を行う専任スタッフを配置するか、遠隔で建物を開錠できるシステムの導入が求められます。
・住民の救命講習受講の促進
消防署が実施する救命講習を住民全体で受講することで、AEDの操作方法や初期対応を学び、救助到着前の対策を強化することができます。
・非常時の対応フローを周知
管理会社は住民に対して緊急時の対応フローや設備の使い方を定期的に周知すべきです。
また、非常時に備えたマニュアルの配布や説明会の実施も効果的です。
<まとめ>
強固なセキュリティは住民の安心を守る重要な要素ですが、緊急時には迅速な救助活動を妨げるリスクも伴います。
セキュリティと救助対応のバランスをとるため、建物の管理体制を整え、住民と救助隊の協力体制を構築することが必要です。
特にタワーマンションの住民は、緊急時の対応について日頃から意識し、行動することが求められます。
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