2024年12月12日付のFNNプライムオンラインが、
『「ゾッとする」通勤時間帯に1.5トンの鉄骨落下 約4メートルの高架から…経年劣化も含め原因を調査中 京成電鉄・千住大橋駅』
と言う見出しのコジを報じていました。
以下に、この記事を要約し、今後、多くの鉄道会社が実施すべき対策について、アセットマネジメントの観点から考察しました。

《記事の要約》
<京成本線で鉄骨落下事故 — 朝の通勤時間帯に1.5トンの鉄骨が道路をふさぐ>
2024年12月12日朝、東京・足立区の京成本線高架橋から、長さ約11メートル、重さ約1.5トンの鉄骨が落下する事故が発生しました。
事故が起きたのは通勤・通学の時間帯である午前8時45分頃。現場は京成電鉄千住大橋駅付近で、鉄骨は道路を完全にふさぎました。幸いにもけが人は報告されていません。

<事故の詳細と背景>
落下した鉄骨は、高架を保護する目的で設置された「防護げた」と呼ばれる部材で、1977年に設置されたものでした。
鉄骨が取り付けられていた部分には、むき出しの取り付け跡が確認され、接合部分の鉄板には錆が見られました。

京成電鉄によれば、2023年6月の点検では異常は見つからなかったとのことです。
しかし経年劣化や接合部の不具合が原因である可能性があるとして、京成電鉄は同型の「防護げた」について緊急点検を進めるとともに、事故の詳細な原因調査を行っています。

<住民の声と事故の衝撃>
事故現場を通った近隣住民は、「ドスーンという大きな音がして驚いた」「もし自分がその時間帯に通っていたらと思うとゾッとする」と語り、事故の衝撃と危険性が改めて浮き彫りとなっています。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
<アセットマネジメントシステムの観点から見た鉄道会社の今後の対策>

鉄道インフラの老朽化が進む中、今回の事故はその課題を浮き彫りにしました。ISO 55000は、インフラ資産を最適に管理し、リスクを最小限に抑えるための包括的なフレームワークを提供します。この規格を活用することで、鉄道会社は設備の安全性を高め、同様の事故を防ぐことが期待されます。以下に具体的な対策を解説します。

1. ライフサイクル管理の徹底
設備の設置から廃棄に至るまでのライフサイクル全体を管理し、計画的な更新スケジュールを作成する必要があります。
今回の「防護げた」は設置から約47年が経過しており、老朽化が進んでいたと推測されます。
老朽化した設備を見極め、計画的に交換する仕組みを構築すべきです。

2. 予知保全技術の導入
目視や定期点検では見逃される可能性のある経年劣化や接合部の劣化を補うため、センサーやIoT(モノのインターネット)を活用した予知保全が必要です。
振動、腐食、応力の変化などをリアルタイムでモニタリングし、異常が発生する前に補修や交換を行う体制を整備することが求められます。

3. リスクアセスメントの強化
ISO 55000はリスクベースの管理を重視しています。高架橋やトンネルなど、事故が発生した場合に被害が大きい施設を優先的に点検・修繕する仕組みを構築すべきです。
今回のように人通りの多い場所や道路上に設置された設備は、リスク評価を特に厳密に行う必要があります。

4. データベースの一元化
点検履歴や修繕記録を一元管理するデータベースを構築し、設備の状態を時系列で把握できる体制を整えることが重要です。
これにより、経年劣化の進行状況を効率的に把握し、最適なタイミングでのメンテナンスや更新を実施できます。
また、データの透明性を確保し、事故後の調査や住民への説明にも活用できます。

5. 技術者の育成と教育
設備管理の現場で働く技術者に対して、ISO 55000に基づいた知識とスキルを提供する研修を実施することが必要です。
特に老朽化や接合部の腐食といった経年劣化の兆候を的確に判断できる能力を養うことが求められます。
また、外部専門家や研究機関との連携を通じて、最新技術の導入も進めるべきです。

6. 緊急対応計画の整備
今回の事故では幸いけが人は出ませんでしたが、一歩間違えれば大きな人的被害を引き起こしかねませんでした。
事故発生時の迅速な対応を可能にする緊急対応計画を整備し、現場での迅速な規制線設置や、代替交通手段の確保を含めた包括的な対応策を策定することが求められます。

7. 地域住民との連携
住民からの異常報告を迅速に収集するための仕組みを構築することが重要です。
現場での小さな異常に早期に気づき、リスクを未然に防ぐためには、地域住民の協力が不可欠です。
また、事故後の情報提供や対応状況の説明を透明性を持って行い、住民との信頼関係を築くことも重要です。

<結論>
今回の事故は、鉄道インフラの老朽化や管理体制の課題を改めて浮き彫りにしました。
ISO 55000に基づくアセットマネジメントの実践を通じて、設備のライフサイクル管理、予知保全、リスクアセスメントの強化を進めることが重要です。
さらに、緊急対応計画や地域住民との連携を整備することで、利用者や周辺住民に安全な鉄道サービスを提供し、信頼を回復することが期待されます。
鉄道会社はこれらの取り組みを継続的に実施し、再発防止に努めるべきです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ937号より)


 

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