2024年12月5日付のYBS山形放送が、
『山形大教員による蔵王の無断伐採 学長らが陳謝 国「見直しを」教員「聞いた自覚ない」主張に食い違い』
という見出しの報道をしていました。
 

12月4日付のYBC山形放送の報道では、無断伐採した教員は、「国から申請内容の見直しを求められていたにもかかわらず、山形県に“国の許可を得た”旨の内容を記載して申請していた」そうです。
以下に、12月4日、5日の記事を併せて、要約し、考察しました。

《記事の要約》
山形大学農学部の教員が、蔵王国定公園内の特別保護地区に指定されている「アオモリトドマツ」の枯れ木56本を、国の許可を得ずに伐採していた問題で、大学が関係者への謝罪と経緯調査を進めています。
この問題は、教員がアオモリトドマツの枯死原因を調べる目的で木の年輪を確認しようとした際に発生しました。

2024年4月、教員は山形森林管理署に伐採許可を申請しましたが、伐採本数が多く、樹氷観光資源として価値があるとして申請は却下されました。
その後、教員は許可を再申請せず、9月に山形県に申請書を提出しましたが、この際「国からの許可を得ている」と虚偽の記載を行い、県からの許可を取得。
10月下旬に現場で伐採作業を行っていた際、森林管理署職員に発見され、国の許可が得られていないことが判明しました。

大学は12月5日に臨時記者会見を開き、玉手英利学長が「関係者に多大な迷惑をかけた」と謝罪。
渡部徹農学部長は、教員が枯れ木を調査するためにサンプルを必要とした背景を説明しましたが、森林管理署側と教員の主張には「伐採本数や許可の手続き」に関する食い違いがあり、大学はさらなる調査を進めるとしています。

学長は「違法な手段で得た資料は研究発表や論文には使用できない」とし、教員の意識改革と処分の必要性を示唆しました。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》(山形大学としての再発防止策)
今回の無断伐採問題は、教育・研究機関としての倫理意識や法令遵守の欠如が浮き彫りとなりました。
このような問題を防ぐために、山形大学として以下の再発防止策を講じるべきです。

1. 許可手続きの徹底と透明性確保
(1) 明確な手続きガイドラインの作成
研究に必要な自然資源の採取や伐採に関する手続きについて、国や地方自治体の許可要件を網羅したガイドラインを整備します。
特に特別保護地区や国定公園内での行為に関しては、許可申請の具体的な流れを明記し、教員に徹底周知する必要があります。

(2) 許可の取得状況を管理するシステムの導入
許可申請や承認状況をデジタルで記録・共有するシステムを導入し、教員個人の判断に依存せず、部門全体で許可状況を確認できる仕組みを構築します。
これにより、申請不備や虚偽記載のリスクを軽減できます。

2. 法令遵守教育の強化
(1) 研究倫理の研修プログラム
教員向けに研究倫理や法令遵守をテーマにした定期的な研修を実施します。
特に自然保護区での研究活動におけるルールや倫理的配慮について、具体的な事例を交えた実践的な内容とします。

(2) 新規教員へのオリエンテーション
新規採用教員には、研究活動における法的手続きや大学の責任範囲を明確に示すオリエンテーションを義務付けます。
これにより、法令遵守意識を早い段階で植え付けることができます。

3. 監視体制の強化
(1) 許可取得の内部審査制度
伐採やサンプリングを伴う研究については、学内の倫理審査委員会や専門部署が事前に申請内容を確認する制度を導入します。
外部機関に提出する申請書類が適切であるかを第三者の視点で精査することで、虚偽記載や不備を防ぎます。

(2) 外部機関との連携強化
森林管理署や地方自治体との連携を強化し、伐採許可に関する情報共有を密に行います。
これにより、教員が独断で申請を進めるリスクを低減させます。

4. 研究倫理の再構築
(1) 違法資料の使用禁止ルールの徹底
違法な手段で取得した資料やサンプルを研究や論文に使用しないルールを明確化し、これに違反した場合の厳正な処分を規定します。

(2) 倫理意識向上のための組織文化の改革
学内において、倫理的な研究活動の重要性を周知するキャンペーンを展開し、個人の研究成果よりも法令遵守や社会的責任を優先する組織文化を醸成します。

<結論>
山形大学の無断伐採問題は、研究者個人の判断ミスだけでなく、大学としての管理体制や倫理意識の欠如が背景にあると考えられます。
これを教訓とし、法令遵守の意識向上や管理体制の強化、外部機関との連携を徹底することで、再発防止を図ることが求められます。
倫理的で責任ある研究活動を確保するため、全学的な取り組みが必要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ936号より)

 

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