2024年10月4日付のBBS山陰放送が、

『「計画変更には一切応じられないというものでした」 松江高層マンション問題 親会社に直談判も 計画変更は拒否』

という見出しの記事を報じていました。

いわゆる「景観問題」ですが、なぜ、マンション建設が問題なかったのか、など、以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

~松江市のマンション計画変更、親会社が拒否~

島根県松江市で建設中の19階建てマンションが市の景観計画に反するとして、松江市の上定昭仁市長が2024年10月2日にマンションの親会社、京阪ホールディングスに対し直接計画変更を求めましたが、拒否されました。
この件は10月4日に市長が明らかにしました。

 

松江市殿町で進行中のこの高層マンションは、高さが57メートルで松江城天守と同じ高さになる見込みです。
そのため、市内の歴史的景観にそぐわないと市民グループが反対運動を行っており、市も景観を保護するための条例改正を進めています。

 

上定市長は「計画変更には一切応じられないという回答でした」と述べ、今後の対応については「今は何とも言えない」としています。

(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
松江市における19階建てマンションの建設が問題となった背景には、法的な規制の不足や事前計画の欠如が影響していると考えられます。

以下では、なぜマンション建設を条例で規制できなかったのかと、松江市が今後実施すべき対策について分析します。

 

〈マンション建設を条例で規制できなかった理由〉

1)法的権限の限界

日本の地方自治体は、建築に関する基本的な規制権を持っていますが、それは主に建築基準法に基づいて行われます。
松江市の場合、歴史的景観を守るための具体的な法的権限や明確な条例が不足していた可能性があります。
先進国の例(フランスやイタリアなど)と比較すると、日本では景観保護のための法的枠組みが十分に発展していない側面があります。


2)事前の予防策の欠如

国宝に認定された松江城周辺の景観保護を目的とした具体的な条例が制定されていなかったことが大きな問題です。
建設が始まる前に適切な規制が設けられていれば、このような問題は避けられた可能性があります。


3)開発圧力との対立

経済発展と地域の歴史的・文化的価値の間のバランスを取ることは常に難しい課題です。
松江市の場合、市の発展と人口増加に伴う住宅需要に応えるため、高層マンションの建設が進んでいることが、古い規制や計画の見直しを促すべきだったと考えられます。


〈松江市が今後実施すべき対策〉

1)景観保護条例の制定

松江城などの国宝とその周辺の景観を保護するための具体的な条例を制定することが必要です。
これには、建築物の高さ、色彩、デザインなど、詳細な規定を設けることが含まれるべきです。


2)市民参加のプロセスの強化

建設計画の透明性を高めるために、市民や関係者が参加する公開フォーラムや議論の場を設けること。
これにより、プロジェクトが市の文化的価値に合致しているかどうかについて、広範囲から意見を集めることができます。


3)教育と啓発の促進

市民に対して、地域の歴史的価値と建築プロジェクトが及ぼす影響についての教育と啓発活動を行うこと。
これにより、市民自身が地域の文化的遺産を守る意識を持つようになります。


4)インセンティブの導入

開発業者に対して、景観を考慮した開発を行った場合に税制上の優遇措置を提供すること。
これにより、利益だけでなく、地域社会への貢献を促進する動機付けが行われます。


5)法的対策の強化

景観保護に関する法的枠組みを強化し、必要に応じて国レベルでの支援や法改正を求めること。
これにより、地方自治体が直面する法的な制約を超えて、効果的な規制が可能となります。


これらの対策を講じることで、松江市は歴史的な価値を守りつつ、持続可能な都市発展を遂げることが可能になります。


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