ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)では、「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」について、「労働安全衛生パフォーマンスの向上につながり得る状況または、一連の状況」と定義しています。
今回は、「介護サービス」の事例について、考察します。
《介護サービスの労働安全衛生機会》
介護サービス業における「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」とは、従業員の安全と健康を向上させるための改善や新しいアプローチを積極的に採用することを指します。この分野では特に、肉体的、精神的な負担が大きく、さまざまなリスクが存在します。
以下に、介護サービス業における具体的な安全衛生機会を詳細に説明します。
1. エルゴノミクスの改善
介護業務では、利用者の移動や入浴介助など、肉体的な負担が大きい作業が多くあります。エルゴノミックな工夫を施したリフトや車椅子、ベッドなどの導入は、労働者の筋骨格系障害のリスクを軽減します。また、適切な高さで作業ができる調整可能なベッドやチェアを使うことで、無理な姿勢での作業を防ぎます。
2. 安全教育と訓練の充実
介護業務における安全教育と訓練は、職場での事故を防ぐために非常に重要です。特に、移動介助や緊急時の対応、衛生管理など、具体的な業務に対応した訓練を定期的に実施することが求められます。これにより、労働者は安全な介護方法を学び、実際の業務でのリスクを減少させることができます。
3. メンタルヘルスのサポート強化
介護職は感情的にも重労働であり、精神的なストレスが高まりやすい職種です。カウンセリングやメンタルヘルスのワークショップの提供、心理的なサポート体制の構築は、職員の心理的負担を軽減し、職場の雰囲気を改善するための重要な機会です。定期的な面談やグループセッションを通じて、職員がストレスを共有し、解消する手助けをします。
4. 衛生管理の徹底
介護施設では感染症のリスクが常に存在します。適切な衛生管理と感染症対策は、職員と利用者双方の健康を守るために不可欠です。定期的な清掃と消毒、手洗いや消毒の徹底、マスクの着用など、基本的な衛生習慣を確立することは大きな労働安全衛生機会となります。
5. 労働条件の見直し
長時間労働やシフト制による体調不良は、介護職における大きな問題です。労働時間の適正化、充分な休息時間の確保、フレキシブルな勤務体制の導入は、職員の健康を保つための重要な機会です。また、適切な人員配置を確保することで、一人ひとりの負担を軽減し、サービスの質を維持します。
6. テクノロジーの活用
デジタル技術を活用することで、介護業務の効率化と安全性向上が図れます。例えば、電子カルテシステムの導入により、利用者の情報を正確かつ迅速に共有できるようになり、医療ミスを防ぐことができます。また、遠隔モニタリングシステムによって、夜間や緊急時における利用者の状態をリアルタイムで把握し、迅速な対応を可能にします。
これらの機会を活用することで、介護サービス業における労働安全衛生パフォーマンスが向上し、従業員がより安全かつ健康的な環境で働けるようになります。ISO 45001の枠組みに沿ってこれらの機会を体系的に管理し、実施することで、持続可能な職場環境の構築を目指します。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ907号より)
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