2024年9月2日付の産経新聞が、
『「工事しないと家傾く」 戸建て狙う点検商法急増 トクリュウの暗躍も 警視庁が摘発強化』
と言う見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、考察しました。
《記事の要約》
戸建て住宅の居住者を狙った「点検商法」の被害が増加しています。
この詐欺は、補修工事が必要であると偽り、高額な工事費を騙し取る手口です。2024年4月から7月の間に国民生活センターに寄せられた相談数は、過去10年で最多を記録した昨年度の数を上回っています。
警察が摘発した業者は、社名や社員をころころ変えながら、同じ手法を繰り返しています。警視庁は、SNSを通じて組織を形成し、活動する「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)が関与しているとみており、摘発を強化しています。
■不安を煽っての詐欺行為
2024年7月に逮捕された業者は、「基礎にヒビがあります」「床下の湿気がひどい」と主張し、床下工事を行うふりをして代金を詐取していました。
この業者は「三洋」「三農」などと名前を変え、神奈川県や東京都を拠点に活動していました。
彼らは「床下にシロアリがいます」と虚偽の報告をして害虫駆除業者を装い、騙し取った金額は約1500万円に上ります。
■摘発事例とその対策
2024年1月、神奈川県の「大和住建」という業者が不必要な屋根工事で約8億円の利益を上げたとして摘発されました。
この業者も、特殊詐欺に関与した過去がある人物が含まれていました。警察は、これらの点検商法業者が、SNSを使った募集や社員の頻繁な入れ替えを行っていることから、組織的犯罪と判断し、取り締まりを強化しています。
■相談件数の増加
国民生活センターによると、点検商法に関する相談件数は、2024年度に入ってからの4ヶ月間で既に4786件に達し、昨年同期の2814件を大幅に上回っています。
特に屋根や床下、給湯器など様々な設備に関する相談が増加しており、被害者の大半は60歳以上の高齢者です。
■高齢者への注意喚起
国民生活センターは、特に高齢者が狙われやすいとして、インターホンでの対応を推奨しています。
「無料点検」という言葉を聞いた際は、断るようにと呼びかけています。
巧妙なトークに乗せられないよう、対面ではなく遠隔での対応が効果的です。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察-点検商法が増加している背景と対策-》
点検商法の被害が増加している背景には、複数の要因が絡み合っています。
まず、高齢者人口の増加が挙げられます。
この層は、自宅のメンテナンスに関する知識が不足していることが多く、また、対面でのコミュニケーションに弱いため、巧みな言葉巧みによる誘導に引っかかりやすいのです。
さらに、デジタル技術の進展により、犯罪者が匿名性を保ちやすくなったことも、この種の詐欺が増加する一因となっています。
次に、社会的孤立感が高まっている点も無視できません。
特に一人暮らしの高齢者は、他人との接触機会が少なく、誰かと話すこと自体が珍しいため、訪問者に対して警戒心を持ちにくく、詐欺師にとっては格好のターゲットとなっています。
このような背景を踏まえ、点検商法の詐欺に遭わないための対策をいくつか提案します。
1)教育と啓発
地域コミュニティや高齢者向けのセミナーで、点検商法の手口や対処法を定期的に教育することが重要です。
具体的な事例を交えて説明し、疑問に思ったらすぐに家族や警察に相談することの大切さを強調するべきです。
2)デジタルツールの活用
スマートフォンやタブレットを用いたセキュリティアプリを導入し、不審な訪問者があった際には、その場で関連情報をチェックできるようにする。
また、インターホンがカメラ付きであれば、訪問者の顔を確認してから応対するようにすることも有効です。
3)地域社会の連携
近隣住民との連携を深め、見守り活動を強化すること。
特に単身高齢者の住む地域では、地域の防犯パトロールを充実させ、怪しい訪問者に対しては地域全体で情報共有を行うことが重要です。
4)公的な相談窓口の利用
国民生活センターや消費者相談センターなどの公的機関を積極的に利用し、少しでも不審に思ったらすぐに相談する。
また、これらの機関からの情報提供を受け、最新の詐欺手口に対する警戒を怠らないことが求められます。
点検商法は、被害者の不安をあおることで成立する詐欺です。
だからこそ、教育と情報の共有、地域社会の連携によって、これらの犯罪を未然に防ぐことが可能です。社会全体で警戒心を持ち、積極的な対策を講じることが求められています。
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