2024年7月6日付の読売新聞オンラインが、

『市道として売却したのに市が所有権移転せず…男性に45年課税、訴え無視し差し押さえも』

と言う見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

約45年前、愛媛県川之江市(現・四国中央市)で行われた市道拡幅工事に関連し、民有地が市道に取り込まれたにも関わらず、不適切な手続きにより地主である男性(74)に固定資産税が課され続けている問題が発覚しました。

この問題は、2024年6月に男性が自宅倉庫で発見した関連書類を基に、市が調査を始めたことで明るみに出ました。

 

問題の核心は、1979年11月に男性の父親が当時の市長と土地売買契約を交わしたにも関わらず、市が土地所有権の移転手続きを行わずに、不適切に固定資産税を課し続けたことにあります。

特に、1982年度に工事が完了してから市が「予算がない」として測量や移転登記を延期し、そのまま放置していたことが問題を複雑化させました。

 

この間、男性は1987年に父親が亡くなり、土地の新たな所有者となりました。

彼は市に対して何度も課税の不正を訴えましたが、市は「予算不足」「資料不足」と述べるだけで、具体的な解決策を提供しませんでした。

2005年からは固定資産税の支払いを拒否し、結果として2008年には自家用車と電子オルガンが差し押さえられました。

さらに、2024年には納税催告書が届き、過去5年分の税金として135万8000円を請求されました。男性がこれに応じなかったため、市は彼の銀行口座から現金32円を差し押さえました。

 

この長期にわたる問題は、男性が自宅で古い工事図面や契約書を発見し、市に提出したことで進展しました。市の建設部長はこれを受けて、男性の主張が事実であることを認め、「市道として取り込んだ民有地に課税することは本来あり得ない」と述べ、男性に謝罪しました。

彼は今後、測量を実施し、固定資産税の正しい計算を行うとともに、過去の担当者から事情を聞き取り、再発防止策を講じると述べています。

 

この事例は、行政の手続きの遅れや無視がどれほど個人に深刻な影響を与え得るかを示しています。

また、適切な文書管理と迅速な対応の重要性を市に再認識させる出来事となりました。

市は、今回の教訓を生かし、将来的に同様の問題が発生しないよう努力する必要があります。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

旧川之江市における固定資産税の過剰請求問題について、原因と再発防止策を以下に考察しました。

 

〈問題の原因〉

1)手続きの不備:

当初の工事手順として、土地の測量と詳細な設計後に用地取得というステップが必要でしたが、市はこれを省略または適切に実行しなかったと考えられます。

このため、土地売買契約後に正確な測量や所有権移転が行われず、税金が誤って課され続ける原因となりました。


2)行政の無責任な対応:

市は「予算がない」として必要な測量を行わず、その結果、土地所有権の正確な移転がなされなかった。

また、市民からの訴えに対しても「資料がない」「予算がない」と繰り返し、問題解決に向けた適切な対応を怠った。


3)行政の保身と市民無視の姿勢:

公務員が自身の保身や手続きの煩雑さを理由に市民の利益を軽視し、問題解決を遅らせた。

これにより、市民の信頼を損なう結果となりました。


〈再発防止策〉

1)正規の手続きの徹底:

すべての行政手続きにおいて、測量や設計など必要なステップを省略せず、確実に行うこと。

これにより、用地取得や工事完了後の処理が適切に行われるようにする。


2)透明性の確保と市民とのコミュニケーション強化:

行政手続きにおける透明性を高め、市民との間で情報を共有することで、信頼を築く。

また、市民からの訴えや問題提起に対しては迅速かつ公正に対応する体制を整える。


3)適切な監視体制と責任の所在の明確化:

行政の各段階での監視体制を強化し、問題が発生した際の責任所在を明確にする。

また、過失があった場合は適切な処分を行い、公務員に対する法的責任を強化する。


4)市民の意識向上と教育:

市民自身も自分の権利や行政手続きに関する知識を深め、自身の権利を積極的に主張できるようにする。

また、市が市民教育を強化し、税金や行政サービスに関する理解を促進する。


この問題により、行政が市民の権利と信頼にどれほど責任を持つべきかが改めて問われました。愛媛県川之江市のケースは、他の自治体にとっても重要な学びとなり、市民の権利を尊重し、適切な行政サービスの提供が求められています。

 

それにしても、この報道から状況を想像すると、市の歴代の担当者は、住民からの申し出に、全く真摯に向き合っていなかった訳で、自分がこの立場であったら、憤りとともに恐怖や計り知れない精神的な苦痛を感じるはずです。

税金には時効があるようですが、市は、法律の定めによる過剰請求分の返還だけでなく、おわびだけでなく、慰謝料も支払うべきではないかと思います。

 

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