ISOマネジメントシステム認証に関心がある方ならご承知の「IAF文書」について、業界関係者の中で議論になる話題について、触れておきます。

今回の話題は、「OH&SMS認証のけるIAF文書(MD22)の“Management”の日本語訳」です。

まず、そもそも論ですが、「IAF文書とは何か」について、整理しておきます。

 

《IAF文書とは》

「IAF文書」とは、国際認証機関フォーラム(International Accreditation Forum, IAF)によって発行される文書のことです。IAFは、国際的に認証活動の均質性と信頼性を確保することを目的とする組織で、様々な国の認証機関が加盟しています。

 

IAF文書には、認証プロセスに関するガイドライン、要求事項、手順、認証基準の解釈などが含まれます。これらの文書は、認証機関がISOマネジメントシステム(例えばISO 9001やISO 14001など)の認証を行う際の一貫性と品質を確保するための基準となります。

 

IAF文書の主な目的は以下の通りです:

・国際的な認証プロセスの一貫性を保証するためのガイドラインを提供する。

・認証機関が適切な審査方法を採用し、認証プロセスを適切に管理することを確保する。

・認証機関間の相互承認を促進し、グローバルな市場での認証の信頼性を高める。

 

IAF文書は、特に認証機関やその審査員にとって重要なリソースであり、ISOマネジメントシステムを実装する企業にとっても、その認証プロセスがどのように管理され、評価されるかを理解する上で役立ちます。

 

さて、今回の本題ですが、「OH&SMS認証のけるIAF文書(MD22)の“Management”の日本語訳」について、よく議論になるのは、MD22の「G.9.4.4.2」と「G.9.4.7.1」の英文「Management」の日本語訳です。

 

《G.9.4.4.2の日本語訳》

G 9.4.4.2 審査チームは次の要員と面談を行わなければならない。

i) 労働安全衛生に法的責任をもつ経営層

ii) 労働安全衛生に責任をもつ従業員の代表者

iii) 例えば、医師及び看護師といった従業員の健康を監視する責任をもつ要員。面談が遠隔で行われる場合、それを正当化する理由は記録されなければならない

iv) 管理職、及び常勤及び臨時の従業員

面談が考慮されることが望ましいその他の要員は、次のとおり。

i) 労働安全衛生リスクの防止に関連した活動を行う管理職及び従業員、及び

ii) 請負者の経営層及び従業員

 

《G.9.4.7.1の日本語訳》

G 9.4.7.1 組織の代表者は、労働安全衛生に法的責任をもつ経営層、従業員の健康を監視する責任をもつ要員及び労働安全衛生に責任をもつ従業員の代表者を最終会議への出席に招くよう求められなければならない。

欠席する場合には、その正当化する理由が記録されなければならない。

 

現行の日本語訳では、G 9.4.4.2 i)、G 9.4.7.1で「労働安全衛生に法的責任をもつ経営層」、G 9.4.4.2 iv)のii)で「請負者の経営層」と「Management」が「経営層」と訳されています。

 

少し話は逸れますが、関連するISO規格(ISO17011、17025、17065、19011、17021-1等)では、「Management」について、「経営層」、「管理要員」、「管理層」と三種類の日本語に訳されています。

 

今回話題の「G.9.4.4.2」と「G.9.4.7.1」ですが、「認証審査における面談対象者」と「認証審査における最終会議の出席者」です。

私見になりますが、実務的に捉えると、ここで使用している「Management」は、組織の規模にもよるとは思いますが、一般論で捉えると、必ずしも「経営層」(社長や取締役クラス)ではなく「管理層」(部長クラス)で問題ないと思います。

議論になるのは「法的責任を持つManagement」なので、日本人の感覚だと「登記簿に登載されている役員」をイメージするケースが多いのですが、例えば、「衛生管理者に指名されている総務部長」や「建設現場の現場代理人」は、「法的責任のある管理層」といえるので、「G.9.4.4.2」と「G.9.4.7.1」の「Management」は、「経営層」ではなく「管理層」で問題ないのではないかと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ887号より)

 

 

 

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