2024年6月1日付の時事通信社が、

『面接解禁日、形骸化進む 内定獲得すでに8割 25年春卒』

と言う見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

2025年春に卒業予定の大学生の就職活動が、政府が定めた2024年6月1日から正式に始まりましたが、すでに多くの学生が内定を得ており、実際の採用活動はさらに早期化しています。

リクルートの就職みらい研究所によると、2024年5月15日時点での大学生の内定率は78.1%に上り、前年の同時期と比べて上昇しています。

 

主要企業では、三井住友海上火災保険や伊藤忠商事が6月1日に面接を開始しましたが、多くの学生が早期に内定を決めてしまう傾向があります。

この状況に対し、就職みらい研究所は、優秀な人材の確保のために、多くの大手企業がスケジュールを順守することが困難になっていると指摘しています。

 

オンライン面接の普及も早期化の一因とされています。

コロナ禍を通じて広がったこの方法は、地方や海外の学生が選考を受けやすくなる利点があり、企業にとっても選考プロセスの効率化が進んでいます。これにより、内定を出すタイミングが前倒しになっています。

 

一方で、三菱商事のように学生の事情に配慮し、3月と6月の2回に分けて選考を行う企業も存在します。

これにより、学生は就職活動のタイミングを選べるようになっています。

 

就職みらい研究所の栗田貴祥所長は、6月解禁日のルールと実際の採用活動の乖離が大きくなれば、学生の混乱を招く可能性があると警告しています。また、学業に影響を与えないよう、新しい就職活動の形を模索する必要があると提言しています。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

新卒採用の解禁日が形骸化している現状について、様々な意見が寄せられています。

現在、就職活動の解禁日は政府によって6月1日に定められていますが、実際には多くの企業や学生がそれより前に活動を開始しており、解禁日の意味が薄れつつあります。

 

一部の意見では、解禁日が形骸化することによる混乱を指摘し、特に大企業が積極的に早期に学生と接触を図ることが、市場における不平等を生んでいると批判しています。

このような状況は、特に地方や海外の学生にとって不利な条件を作り出しており、解禁日のルールに従う企業とそうでない企業との間での格差が拡大しています。

 

他方で、オンライン面接の普及により、時間と場所を選ばずに面接が行えるようになったことが、採用活動の早期化を促進しているとの意見もあります。

これにより企業は効率的に優秀な人材を確保でき、学生もより多くの選択肢を早期に得られるというメリットがあります。

 

しかし、このような状況は学生にとってのプレッシャーも増大させており、学業に対する集中を妨げ、教育の質を低下させる恐れも指摘されています。さらに、企業による採用活動の早期化は、学生が十分な情報を得る前に決断を迫られる場合があり、後になってから適切でなかったと感じるケースも増えています。

 

この問題に対処するためには、企業と学校、政府が連携して、採用活動のルールを見直し、学生の学業と就職活動のバランスを考慮した新たなガイドラインの策定が求められます。

これにより、すべての学生が公平な条件で就職活動を行える環境を整えることが重要です。また、学生自身も早期に情報収集を始め、自分に合った企業を見極めることが求められます。

 

個人的な感想ですが、少子高齢化の影響もあり、私が仕事で訪問する多くの中小企業では人手不足が深刻です。

ただ、学生に「中小企業への就職」を勧めたところで、よっぽどの技術力を持ったベンチャー企業でない限り、最初から積極的に中小企業を就職先として選ぶ学生はいないでしょう。

しかし、ニッチな分野での技術力や業界シェアを持った中小企業は、数多くあるので、「期待されている感」、「必要とされている感」は、大企業よりあると思います。

大量採用の大企業は、幹部候補生と働き蜂候補を分けるために、「出身大学」を陰では重要視しますが、中小企業では、同期や同年代も少ないので、大企業で「働き蜂候補」だった人も、チャンスは多く与えられますし、「社会人としての実力」があれば、重要な仕事を任せられるでしょう。

不幸にして早々と退職した第2新卒者は、安定性、成長性のある中小企業を目指し、若手人材が欲しい中小企業とのマッチングシステムがあると、良い人材流動が起こるのではないかと思います。
 

 

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