東海テレビが、2024年5月31日付で、
『業者の杜撰さ明らかに…名古屋市立小学校の部活動民間委託「来るはずの指導者が来ない」保護者等から苦情殺到』
という見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、考察しました。
《記事の要約》
名古屋市立小学校の部活動において、民間業者に指導を委託した結果、研修を受けていない指導員の派遣や、指導者不在といったずさんな管理が明らかになりました。この民間委託は2020年から始まり、教員の働き方改革の一環として導入されましたが、2024年4月以降、市には保護者からの苦情が続出しています。
特に、2024年4月から名古屋市は部活動の委託先を変更し、岐阜市に本社を置く「技研サービス」に委託しました。しかし、この変更後、保護者や学校からは「指導者が来ない」「スタッフが足りない」「研修を受けていない指導者がいる」といった声が相次ぎました。市からは90回もの改善指導が行われていますが、問題は依然解決していません。
技研サービス側は、「指導員は競技経験があるため指導可能と判断した」と釈明し、人員の増加など対応を進めていると説明しています。また、同社は「派遣指導員には最低限の研修を施していた」と主張しています。
この事態に対し、名古屋市の河村たかし市長は問題の存在を認めつつも、制度の見直しには言及しませんでした。市長は「部活動は難しい問題であるため、学校や教育委員会もより注意深く対応すべき」と述べ、現場の注意を促しています。
この問題は、子どもたちの安全を確保するためにも、教育機関と委託業者の連携と責任の明確化が急務であることを示しています。部活動の運営における民間委託のあり方について、より慎重な検討と改善が求められる状況です。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
名古屋市立小学校で導入された部活動の民間委託について、委託業者が研修を受けていない指導員を派遣するなどの問題が発生していることが判明し、これにより、保護者からの苦情が相次ぎ、市は委託業者に90回もの改善指導を行いました。
しかし、問題は解決していません。この事態は、部活動の外部化そのものよりも、委託先の選定と管理体制に問題があると考えられます。
委託業者の選定基準については、名古屋市がコスト削減を優先し、経験豊富な業者ではなく、低コストの新業者を選んだことが一因と見られます。
この結果、専門的な研修を受けていない未経験の指導員が現場に派遣され、質の低い指導が行われたとされています。
この問題から明らかなように、民間委託の改善点としては、以下の点が挙げられます:
1)選定基準の見直し:
委託業者の選定は、単にコストの低さだけでなく、指導員の質や研修体制、実績なども考慮する必要があります。また、透明性を持って選定プロセスを行い、適切な評価基準に基づく選択が求められます。
2)監督体制の強化:
委託後のフォローアップとして、定期的な評価や監督を行い、必要に応じて迅速に改善指導を実施する体制を整えることが重要です。これには、具体的なパフォーマンス指標を設定し、業者がこれを満たしているかを定期的にチェックすることが含まれます。
3)研修と資格要件の明確化:
指導員に求められる資格や研修内容を明確にし、これを満たしていない指導員の派遣を厳しく制限する必要があります。また、市や教育委員会が研修プログラムを提供し、質の高い指導が行えるよう支援することも考えられます。
4)コミュニケーションの強化:
業者と学校、保護者間のコミュニケーションを強化し、透明性を高めることで、信頼関係を築くことが重要です。問題が発生した際の迅速な情報共有と対応が求められます。
5)長期的な視点の確保:
短期的なコスト削減だけでなく、長期的な教育の質の維持を目指すべきです。そのためには、教育委員会が中心となり、持続可能で質の高い部活動の提供を目指すべきです。
以上のように、部活動の民間委託はその利便性と効率を追求する一方で、教育の質や子どもたちの安全を確保するための適切な管理と監督が不可欠です。市や教育委員会は、これらの点を踏まえた上で、制度の改善と適切な業者の選定・管理に努める必要があります。
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