2024年5月3日付の読売新聞オンラインが、

『札幌―夕張結ぶ高速バスが消滅へ…50人乗りに乗客数人、運転手不足・車両老朽化も追い打ち』

という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、地方都市の公共交通について、考察しました。

《記事の要約》
北海道中央バスは、2024年9月末に札幌市と夕張市中心部を結ぶ「高速ゆうばり号」を廃止することを発表しました。この発表により、札幌市と夕張市間の直通公共交通機関はなくなります。この区間ではすでに、夕張市の夕鉄バスが2023年9月に撤退しています。

 

「高速ゆうばり号」は、現在1日に3往復運行していますが、利用者数が非常に少なく、約50人乗りのバスに乗客が数人しかいない状況が続いています。加えて、運転手の不足と車両の老朽化も問題となっており、これが撤退の決断に至った要因です。

 

この高速バスの廃止により、夕張市中心部から札幌市へ移動する際は、代替ルートとしてJR新夕張駅からの鉄道利用、または2023年10月に開始した予約制デマンド交通サービスを利用して栗山町や長沼町へ移動し、そこから他のバスに乗り継ぐ方法が主な移動手段となります。

 

例えば、2024年5月2日の夕方にJR札幌駅前から夕張市へ向かう途中の57歳の女性公務員は、月に1~2回このバスを利用していたと述べ、料金の増加でもサービスの継続を望んでいましたが、結果として廃止のニュースに落胆しています。

 

さらに、中央バスは夕張市と岩見沢市を結ぶ路線バスも利用者の減少に伴い、同じく2024年9月末に廃止する計画です。中央バスの担当者は、空知地区の人口減少が激しく、路線維持が困難であることから、利用者と地域住民に理解を求めています。これらの変更は、地域の移動手段に大きな影響を与えることになるでしょう。
(記事の要約、ここまで)

《筆者による考察~地方都市の公共交通のあり方~》
夕張市と札幌市を直接結ぶ「高速ゆうばり号」の廃止は、日本の多くの地方都市が直面している公共交通の課題を浮き彫りにしています。少子高齢化と人口減少が進む中、効率的な都市計画と公共交通の再編が急務となっています。

 

〈地方都市の公共交通のあり方〉

夕張市のように人口が減少し続ける地域では、公共交通機関の維持が経済的に難しくなるケースが増えています。コンパクトシティ化とは、都市機能を集約し、効率的に生活できる環境を整える都市計画の手法です。夕張市の場合、炭鉱閉鎖後の人口減少を背景に、散在する居住地を統合し、必要最小限のインフラを維持する方向性が求められます。これにより、公共交通の需要を集約し、運行の効率を高めることが可能になります。

 

〈日本全体の都市計画のあり方〉

日本全体で見た場合、地方都市だけでなく中規模都市でも、人口減少に伴う公共サービスの縮小が進んでいます。国土交通省は、各自治体にISO55001などの国際基準を活用し、長期的なインフラ管理計画を策定するよう促しています。これは、限られた予算内で最大の効果を得るための戦略です。また、デマンド交通などの新しい公共交通の形態を取り入れることで、利用者のニーズに柔軟に対応し、無駄を削減することが求められます。

 

〈具体的な進め方〉

1)人口動態に応じたインフラ計画:
人口予測に基づき、必要なインフラを計画的に縮小または再配置する。

2)マルチモーダルトランスポートの導入:
バス、鉄道、デマンド交通を組み合わせ、利用者が最適なルートを選べるようにする。

3)公共と民間の連携:
民間企業と連携し、新しい交通サービスや技術を導入することで、サービスの質を保ちつつコストを削減する。

4)地域住民との協議:
地域住民の声を反映させた都市計画を推進し、実際のニーズに基づいたサービスを提供する。


夕張市の事例から学ぶべきは、変化する社会環境に対応するためには、ただサービスを縮小するのではなく、新たな交通システムへの適応が必要であるという点なのかもしれません。
事例に上げた対策により、都市の持続可能な発展と住民の生活の質の保持が可能になるのでしょう。

 

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