東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年11月28日号掲載の「WeeklyTopics」によれば、経営のプロ「コンサル会社」の倒産が急増しているそうです。
《「WeeklyTopics」の要約》
2023年10月までに、経営コンサルタント業の倒産が過去最多の116件に達し、2009年の記録を上回るペースで増加しています。
この傾向は、コロナ禍の影響と業界の構造変化を反映していると見られます。
2023年の倒産件数はすでに、年間で過去2番目の水準にあり、年末までに2009年の記録を更新する可能性が高いです。
倒産の主な原因は「販売不振」で、負債額が1億円未満の小規模事業者が多いことが特徴です。
コンサル業界は戦略系、専門系、個人や中小規模事業者など多様なプレーヤーが存在します。
しかし、コロナ禍による顧客の行動変化が影響を及ぼし、中小・零細企業が政府や自治体の支援に依存する傾向が高まりました。
これが、コンサルティング需要の減少を招いたと見られます。
また、リモート対応の難しさや、新しい生活様式への適応が不十分な企業の倒産も発生しています。
コンサル業は参入障壁が低く、資格が必須でないため、玉石混交の状況があります。ただし、専門知識を活かした企業も成長しています。
コロナ禍を契機に、時代の要請に応じた高い専門性が求められ、“本物”と“もどき”の選別が進む状況にあります。
一部のコンサル会社は、政府や自治体の助成金申請アドバイスに注力しています。
コンサル会社の激しい生き残り競争は、今後も政策支援の動向に影響されると予想されます。
(記事の要約、ここまで)
一般論ですが、設備投資などの投資額が少ない経営コンサルティング会社が倒産する主な原因にはいくつかの要因があります。コンサルティング会社は通常、設備投資が少ないサービス業であるため、倒産の理由は財務面や市場動向、経営戦略などに関連しています。
主な原因を以下に挙げます。
1)市場の飽和状態:
コンサルタント業界は参入障壁が低く、多くの個人や小規模事業者が参入しやすい。その結果、市場は飽和状態に陥り、競争が激化します。需要に対する供給過多は、料金の低下やクライアントの獲得難化を引き起こすことがあります。
2)適応性の欠如:
経営コンサルティングは、市場の変化に迅速に対応する柔軟性が求められます。技術革新や市場の動向に適応できない企業は、時代遅れのサービスで顧客を失うリスクがあります。
3)顧客の変化への対応不足:
特に中小企業や個人経営のコンサル会社は、顧客のニーズの変化に敏感でなければなりません。政府の政策変更や経済状況の変動により、クライアントのニーズが変わる可能性があり、これに対応できなければ事業は困難に直面します。
4)財務管理の問題:
資金管理の不備や不適切な財務計画は、経営に深刻な影響を及ぼします。現金流の管理失敗や過剰な債務は、企業の継続可能性を脅かす原因となります。
5)専門性の不足:
コンサルティング業界は専門知識と経験が重要です。専門性が不足していると、高度なコンサルティングを提供できず、市場での競争力が低下します。また、専門性の不足はサービスの質の低下をもたらし、顧客満足度の低下に直結します。
これらの要因は相互に関連しており、一つの問題が他の問題を引き起こすこともあります。
私の仕事は、業種的には、「経営コンサルティング業」になります。
さらに細分化すると、「マネジメントシステム構築系コンサル」、「業務改善系コンサル」といったカテゴリーになります。
中堅コンサルティングファームの社員時代は、経営改善や戦略コンサルタントを目指した時期もありましたが、2つの理由から「無理だ」と悟り、国際的な組織の標準化規格「ISOマネジメントシステム」に関する審査やコンサル、セミナーの仕事に絞ることにしました。
「無理だ」と悟った2つの理由は、当時、在籍していた中堅コンサルティングファームは、業界では、大手で老舗でしたが、「一般論プラスα」の改善提案はできても、「真の解決策は提案できない」と思ったのと、ある程度、クライアントが知識をコンサルタントから学べば、「コンサルタントとしては用済みになる」と分かったからです。
話題を冒頭の記事に戻しますが、企業は、経営状態が本当に悪い時には、コンサルタントに依頼しません。
資金繰りなど、会社自体が傾いているときは、補助金など公的支援に頼るからです。
経営コンサルティング会社に企業が依頼するときは、資金繰りに余裕があって、経営もある程度安定しているが、「現状打破」したいときです。
あるいは、「経営者目線ではうまく行っていると捉えているが、外部目線で顕在化・潜在的な問題点を見つけて欲しいとき」です。
したがって、コロナ禍では、クライアントとなり得る企業自体が全体的に瀕死の状態でしたから、経営コンサルティング会社が「経営不振」に陥り倒産件数が過去最高になるのは、当然なのかもしれません。
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