企業の経営を外部の視点からチェックする社外取締役の「質」が注目されているそうです。

社外取締役は、コーポレートガバナンスや企業価値の向上に役立つと期待され、人数は増えているものの、本来の役割を果たしていないケースが殆どだと言われています。

そこで、金融庁と東京証券取引所は、2023年秋に、実態をまとめ、社外取締役が機能するよう促すそうです。

 

このことに関して、2023年8月17日付けの読売新聞を以下に要約しました。

《記事の要約》

社外取締役の質がコーポレートガバナンスの観点から注目されている。

彼らは企業統治や価値向上に寄与すると期待されているが、実際に役割を果たしていないケースも存在する。

三井住友信託銀行の調査では、3社以上の社外取締役を兼務する者が全体の22%で、高い報酬を受け取っている一方で、その役割を果たしていないとの声もある。

過去には、企業の多くが社外取締役を持たなかったが、2015年のコーポレートガバナンス・コード策定により、上場企業への社外取締役設置が促された。

その結果、社外取締役を持つ企業の割合は増加したが、彼らが過半数を占める企業はまだ12%に過ぎない。

金融庁と東京証券取引所は、質の向上を目指して動き始めており、取締役会の実効性評価も導入されている。

しかし、評価方法が不明確なため、自己評価が甘くなる傾向がある。

オリックスの宮内義彦氏は、日本のコーポレートガバナンスが米欧に追いついていないと指摘し、過半数の社外取締役が必要と主張している。

(要約、ここまで)

 

一般的に、日本において社外取締役が、本来の機能を果たしづらい事例と理由を挙げてみます。

 

◆企業の伝統的な内部志向性:

日本の多くの企業は、長い間、内部昇進主義や終身雇用制度を維持してきました。これにより、企業内での一体感や共通の価値観が形成され、外部からの視点や評価が受け入れられにくい文化が根付いています。

 

◆社外取締役の選任基準:

社外取締役は、理論的には企業の外部から独立した視点を持つ人物が選任されるべきですが、日本の多くの企業では、元役員や関連会社の役員、あるいは経営者との人脈を持つ人物が選ばれることが少なくありません。これにより、真に独立した評価や意見が求められる状況での役割発揮が難しくなります。

 

◆「ゴム印」取締役会:

過去の取締役会は、経営層が決定した事項を形式的に追認する場として機能していたことが多く、この伝統や文化が残っている企業も少なくありません。そのため、社外取締役が積極的に意見や批評を行うことが難しい環境が存在します。

 

◆報酬の問題:

高い報酬を受け取ることによるインセンティブや、複数の企業での社外取締役を兼任することによる役割の希薄化が指摘されています。これらが原因で、社外取締役としての役割や責任を十分に果たせない場合があるという問題が浮上しています。

 

◆情報アクセスの限定:

社外取締役は、企業の内部情報に十分にアクセスできないことがある。これにより、独自の視点や評価を行うための十分な情報が得られない場合があり、役割の遂行が困難となる場面も生じます。

 

これらの問題を克服するためには、コーポレートガバナンスの意識の向上や制度の更なる整備、企業文化の変革などが求められます。

いずれにせよ、「社外取締役の存在は、企業イメージなどお飾り」と根本的に考えている以上、本来の機能は果たしづらいのかもしれません。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ868号より)

 

 

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